赤字球団を黒字化した「非常識経営」の中身

横浜DeNAベイスターズが復活したワケ

たとえばルイ・ヴィトンでもエルメスでもいい。いろいろなピースがすべてブランドに沿った方向になっている。そうしないと、会社経営はうまく回っていかない。プロ野球は客があっての人気商売なので、ブランドづくりのため関連するあらゆる領域に目を配る必要がある。

1年目から結果もある程度出さないといけないが、最初の1年はほとんど勉強に費やした。あらゆる領域に精通するには数年かかる。素人がプロになっていかなければいけない。1年目は過去の「経験値」で結果を出していくしかない。

──5年契約だった?

最初は3年で、5年に延びた。長くやるのも一つの生き方だが、オーナーではないし、あくまで契約で成り立つ雇われ経営者だ。

経営者がやるべきは、レバー選びとその内容の吟味

池田純(いけだ じゅん)/Jリーグ特任理事、明治大学学長特任補佐。1976年生まれ。早稲田大学卒業後、住友商事、博報堂を経て、2007年にDeNAに入社。執行役員、NTTドコモとの共同出資会社社長を務め、11年球団社長に。黒字化に成功後、16年10月契約満了に伴い退任(撮影:大澤 誠)

──18のメソッドを駆使したマーケティングは2年目から?

会社全体を引っ張っていかないといけない。だが、全員がわかることでは大した結果は出ない。どこにキードライバーがあるのかと自分で目星をつける。テコの原理が働きそうなポイントをあらゆる領域で見いだし、そこに全体で注力してもらうことを心掛けた。

結局、ポイントは18を超えた。今までの常識でやっていても数字は出せない。常識的な部分は捨ててもらい、各セクションにおいてテコの原理が働きそうなところを見つけ、そこに重点的に取り組んだ。

──普通の会社とは違う球団特有の3つのメリットを有効に活用したのですね。

書いてみるとしごく当たり前のことなのだが、そこでテコの原理が大きく働く。特有のメリットとは「つねにメディアで大きく報じられる」「毎年同じサイクルを繰り返すビジネスモデル」「地域とのつながりが極めて強い」という3つの特殊性だ。それ以外は普通の会社経営とそんなに変わらない。

そこで球団経営者としてやるべきことは、どこのレバーを操作すればいちばん伸びるのか、いちばん従来と変わるのかを知ることだった。つまりレバー選びとその内容の吟味だ。たとえば独自銘柄のクラフトビールの販売。ほかの球団も追随し始め、もはや常識になっている。

とにかくせっかくのメリットを生かせる新しいことをやる。そうすれば、持ち前のメリットの1つ、メディア報道も最大の効能を発揮してくれる。

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