一目置かれる人は「未来の記憶」を操っている 部下を動かす「ビジョン」は生み出せる

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記憶を強めるために有効なのは、「インパクト×繰り返し」だといわれています。「インパクト」とは、動いた感情の大きさです。実際、あなたの過去の記憶に残っている物事は、毎日繰り返し覚えたことのほか、強く感動したり、とてもびっくりしたり、悲しかったり、とにかく感情が大きく動いたエピソードではないでしょうか。

未来記憶も同じで、定着させるためには、感情が大きく動くようにする必要があります。

では、「まだ起きていないことに対して感情を大きく動かす」ためには、どのようにすればいいのでしょうか。

ここで私が「エモーション化」と呼ぶ方法をご紹介します。

体を動かすことで感情も揺り動かされる

「エモーション」(感情)という単語の中には「モーション」(動き)という言葉が含まれています。つまり、感情と体の動きは切っても切り離せないもの。

「楽しいから笑うのではない。 笑うから楽しいのだ」というアメリカの哲学者・心理学者であるウィリアム・ジェームズによる有名な言葉もあるように、体に働きかけることによって、感情も揺り動かすことができるのです。

五感を駆使することによって、「ビジョン」を明確に思い浮かべることができるようになったら、今度はそれに沿って体を動かしてみましょう。

自身が統括するプロジェクトやチームが担っているミッションを達成したときのことを思い浮かべ、ガッツポーズをしてみる。その際に目標達成に尽力してくれた部下に握手を求めたり、肩をたたいたりするアクションをしてみる……。

このように実際に動いてみると、そのときに感じるであろう感動や喜びといった強い感情が湧いてきます。

この「モーション」によって感情を強め、そこからさらに細かい情景を想像して感情を強めていくのが「アンプリフィケーション」(増幅)です。

「モーション」によって感情が高まるにつれて、さらに克明なビジョンを思い描くことができます。ビジョンが達成されたときのその場にいる部下たち、お客様の表情、そのときに聞こえる声や音も、もっと詳細に想像してみましょう。誰の声が聞こえているのか? それはどんな言葉なのか? これまで以上に細かい情景を頭の中に描き出していくのです。

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