「五月病」にかかっても、克服する方法はある 「上司」「ライバル」「自分」とどう向き合うか

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藤野:あれって、世界中の同期で、同じような立場の人を集めて行っているんですって。たとえば私もゴールドマンサックスに在籍していたことがありますが、世界中にいるゴールドマンのバイスプレジデントばかりが集まって、研修が行われました。

といっても、別に何かものすごいカリキュラムがあるわけではない。あまりにもくだらないから、「なんで、こんなことやっているのですか?」って、人事担当者に聞いたわけです。それもニューヨークで指折りの、高級ホテルに泊めてくれるから、かなりコストもかかっているはずなのです。そうしたら、返ってきた答えが振るっていて、入社して半年後って、上にも下にも乖離が生じてくるそうなんです。つまり、ゴールドマンサックスに入社したものの、あまりにもレベルが高すぎて付いていけないという人もいれば、逆にこれは本当に少数ですが、「ゴールドマンっていけてねぇ」って思う人もいる。

いずれにしてもギャップが生じるので、新人だけではなく、同じ立場の同期が集まり、適当に酒なんかを飲んで話し合えば、それがガス抜き効果になり、離職率を大きく下げることができるって言うんですよ。すると結果的に採用コストが下がり、より良い人を集められる。だから人事部は、ROE(自己資本利益率)を上げることに貢献しているセクションなんだ、という話を聞いて、ゴールドマンサックスってよく考えられた組織なんだなと感心しました。

新人教育をしっかりやらないと、会社の創造力が落ちる

渋澤:昔の日本企業は、終身雇用だし年功序列だったから、入ったらそれで終わりって感じだったけど、今は人手不足だし、離職率も高まっているから、この考えは日本企業もどんどん取り入れていくべきでしょうね。一部、導入している企業もありますけれどもね。

藤野:どの業界でも、若手は少しずつ変わろうとしているから、忖度(そんたく)するだけの人事部はダメで、やはり新しい研修制度などを積極的に作っていく必要はありますね。

中野:2年前、クレディセゾンの人事部が戦略人事部に変わったのです。このとき、多くの社員は、「人事部なのに戦略ってどういう意味なんだろう」と思っていたようですが、当然の話だったわけですね。

渋澤:どの会社にとっても、新人教育は将来に向けての長期投資と同じですから、そこをしっかりやらないと、会社の将来の価値を創造する力が落ちてしまいます。

中野:人件費をコストとしかとらえられない経営者は失格です。それにしても、日本企業はなかなか一括採用をやめませんね。

渋澤:一括採用は絶対にやめるべきだと思います。教育の「出口」である就職が一括採用の慣習にとらわれるようだと、いくら教育改革を訴えても変わりませんね。

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