藤野:うん。入社式のときに、会社の偉い人があいさつするじゃないですか。そのとき、話をしてくださった方は、いきなり演台を足で蹴倒して、そこに片足を乗せて、「ワイが〇〇や」と言い始めたのです。日本最大の投資顧問会社の役員ですよ。驚いたのを通り越してあぜんですよ。
まあ、それはともかく、私は法曹界を目指していたので法学部だったのですが、同期のほかの人たちは、東大や一橋大の経済学部を卒業して、しかも米国の著名な経済学者から直に学んだような人もいて、それはもう劣等感にさいなまれまして、最初の5月連休中は、会社の寮で鬱々としていたことを覚えています。
中野:私も出社2日目には会社が嫌になった口ですけれどもね。まず、朝が起きられない。当時は所沢に住んでいたのですが、とにかく満員電車が苦手で、会社に着くころには、もうぐったりしているわけです。「本当にこれから働くんですか?」ってぼやいたら、2日目にいきなり上司に怒鳴られました。
会社と自分、互いのギャップに気づき、折り合いをつけよ
藤野:私は、入社式の社長あいさつで寝てしまい、社長が途中で「私の話は面白くないかね?」と私に聞く始末。まあ、典型的な落ちこぼれ社員でした。
中野:五月病って、たぶんお互いの期待値と現実のギャップに気づいてかかる心の病なんでしょうね。入社して1カ月もすれば、なんとなく自分が入った会社の上司が、社会人としてリスペクトできるかどうか、この会社は自分の人生を賭けるに足るところかどうか、といった点が見えてくるのでしょう。
もちろん、それは経営者が新入社員に対して思うところも同じなのですが、でも一緒に仕事をしていくって、そういうことだと思います。そのギャップと、どこかで折り合いをつけていかなければならない。これは人間関係全般に当てはまることかもしれませんね。結婚だってそうでしょう。
藤野:渋澤さん、ゴールドマンサックスにいたことあるでしょ。
渋澤:ええ。
藤野:入って1年くらい経ったとき、「1年目研修」ってありましたでしょ。
渋澤:ああ、ありましたね。僕は中途採用だったんですが、それでも、新人と一緒にニューヨークの研修に行った記憶があります。
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