米国で出た「UFO目撃情報誌」の気になる中身 世界初?研究者待望のUFOガイドブック

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中でも興味深い事例の1つが、2011年9月の午後の目撃例だ。バワリー地区のニュー・ミュージアムのルーフテラスにいた男性が、トライベッカ上空を高速移動する菱形の物体の写真を撮影した。その物体には窓があり、青と赤の光を発していたという。

MUFONによれば、この物体はテキサス州ラウンドロックで2週間前に撮影されたUFOに似ていたという。

『UFO目撃情報便覧』によれば、2001~2015年にニューヨーク郡(マンハッタン)での目撃例は計426件で、ロングアイランドの先端部に位置するサフォーク郡(554件)に次いで州内で第2位だった。米国で最も人口密度の高いニューヨーク郡と、気取ったビーチリゾートのサフォーク郡でこれほど目撃例が多いのは謎だ。

詳細なデータとUFOへの愛が詰まっている

UFOファンにとって、詳細なデータの図表が詰まったこの本はまさにお宝だ。

州単位で見ると、最も目撃証言が少ないのはコロンビア特別区(人口密度は1平方キロメートルあたり3805人)の154件だ。一方、人口密度は同2.2人のワイオミング州の目撃件数は、その2倍以上の337件に上る。

インディアナ州では目撃例の8%近く(230件)が火球だったが、コロラド州では5%未満(157件)だった。

全米で最も人口の多い州であるカリフォルニア州は、目撃例も最も多く1万5836件だった。これは2位のフロリダ州と3位のテキサス州を合わせたよりも多い数だ。ロサンゼルス郡だけで40の州を上回る目撃例がある。

著者らによれば、人口が多いことは目撃例の多さを説明する決定打にはならない。ワシントン州の人口は670万人(2010年時点)で、目撃数は全米第4位。人口1270万人のペンシルベニア州や1900万人のニューヨーク州よりも多い。

それよりも、晴れの多い西海岸の気候が目撃数の多さに結びついている可能性が高いというのが著者らの考えだ。戸外で過ごす人が多いために、UFOを目撃する機会も多いというわけだ。ちなみに米国全体で見ると、目撃数が多いのは7月で、12~2月は少なくなる。

ただしミシシッピ州では1月と11月が、ニューメキシコ州では9月が最も目撃数の多い月となっている。

目撃情報を全米の3000を超える郡ごとに仕分けするという根気のいる作業のおかげでわかったのは、UFOのことなどまず話題にならないであろうへんぴな地域であっても目撃証言が相次いでいる例があることだった。ちなみに目撃例がゼロという郡は全米のどこを探してもないという。

そして、メディアで報道されたからUFOの目撃情報が急増するといったものでもないようだ、と著者らは指摘している。

(執筆:Ralph Blumenthal記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2017 New York Times News Service

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