しかし両者には決定的な違いがある。ネット生中継では視聴者とパフォーマーが交流できるのだ。スマホやパソコンの端末を使ってネット生中継を見ている視聴者は、その端末から文字を打って生中継の画面上にメッセージを送ることができる。
パフォーマーは通常、自分の生中継画面を見ているので、そこに現れる視聴者からの質問に返事をしたり、「踊ってほしい」などの求めに応じたりできるのだ。これまでテレビになかった大きな強みは、こうした「会話」を可能にする双方向性なのだ。
実はこの双方向性こそがネット生中継の儲けの仕組みにかかわる。先にも述べたが、視聴者はパフォーマーに対し、バーチャルのプレゼントを贈ることができる。
バーチャルのプレゼントとは、動物や花束、車やクルーザーなど各プラットフォームが独自にデザインしたもので種類も値段もさまざまだ。
値段は中国の通貨のいちばん安い単位である1角(約1.6円)ほどのものから、1つ2000元(約3万2000円)するような高額なものもある。視聴者はこうしたバーチャルプレゼントをプラットフォームから購入しパフォーマーに贈る。
プラットフォームは視聴者から支払われたプレゼントの販売代金の一部をパフォーマーに還元する。それがパフォーマーの収入となる。バーチャルプレゼントは視聴者がパフォーマーに渡すチップと同じだ。
毛毛のお目当てもこれだ。
プレゼントは「誰にも予想できません」
毛毛が得意げに指で示して教えてくれたのは、パソコン画面上に保存してあったロケットのアイコン。視聴者からのプレゼントだ。1つ500元(約8000円)。7つあるので3500元、日本円で約5万6000円に相当する。
「私はまだネット生中継を始めたばかりなので、いきなりこんなにプレゼントを贈られて感動したし、驚きました。どうして突然そんなたくさんのプレゼントをもらえたのか、私にもわかりません」
毛毛はそのときの戸惑いと喜びを隠せない。それは、まもなく生中継を終えようとしたときに、視聴者の1人から何の前触れもなく贈られてきたという。
しかしそんな幸運が毎日続くはずはない。生中継を始めて1カ月の毛毛は、まだプレゼントの精算をしてもらっておらず、自分がいったいどのくらい稼げるのかはわからないと話す。
「プレゼントをどれだけもらえるかは誰にも予想できません。今日は人が見てくれるか、何人が見てくれ、そのうち何人がプレゼントを贈ってくれるか、まったくわかりません。これは1つの挑戦ですね」
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