28歳女優が私生活をネットに生中継するワケ

「ネット生中継は夢をつくる機械です」

映画の撮影現場での徐大宝(28歳)、瀋陽にて
中国ではパソコンやスマートフォンからネット回線を使って手軽にできる「インターネット生中継」が大流行している。多くの素人が歌や踊りを披露するパフォーマーとなり、ブレークすれば中国語でネットアイドルを意味する「網紅(ワンホン)」と呼ばれるようになる。昨2016年は、この「網紅」を大量に生み「ネット生中継元年」と称された。
ネット生中継の特徴の1つは、視聴者がパフォーマーに贈るチップのようなバーチャルプレゼント。贈られたプレゼントはパフォーマーの収入になる。女性パフォーマーが生中継の最中に突然、日本円で1000万円以上に相当するプレゼントを贈られた、などという「事件」も起きる。
素人でさえ富と名声をつかむことができる夢の舞台に映る。利用者は3億人以上ともいわれ、中国人の4人に1人が利用している計算になる。市場規模は日本円で2500億円。中国に突如沸き上がった新たなエンターテインメント、ネット生中継。そのきらめく世界の「実態」と「儲けの仕組み」を5回にわけて5日連続でリポートする。第1話はネット生中継が生んだ女優、徐大宝(28歳)に密着する。
=敬称略=

 

本連載は5月15~19日まで5日連続で5本の記事を掲載します

2016年12月。中国東北部の瀋陽には氷点下の風が吹いていたが、足を踏み入れたその5つ星ホテルには人の熱気が充満していた。映画『超能恋愛学院』の撮影が行われていたからだ。カーンというカチンコの高い響きと同時に、大型カメラの前で大げさな表情を作っているのが徐大宝(28歳、年齢は取材当時)だった。

恋愛コメディ映画の準主役に

徐が演じるのは、言い寄る男達の恋愛能力を見破り、数字に換算する超能力を持つキャビンアテンダント。この恋愛コメディ映画の準主役という。

映画の撮影現場でもネット生中継を続けていた

その徐が出番の合間にハンドバッグから取り出したのは自撮り棒。その先に自前のスマホをセットすると、まるで独り言をつぶやいているかのように、スマホに話しかけながら監督やカメラの間をウロチョロし始めた。撮影現場の様子を、スマホを使って実況生中継しているのだ。私が近づくと、「今日は日本の記者が取材に来ています」とネタにされてしまった。

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