歩道に面した入り口から狭い階段を2階に上がると、くすんだ外観からは想像もつかない真新しいガラス扉が現れる。このガラス扉の先に広がる赤と白を基調にしたオフィスが、毛毛が所属する「上海玖睦文化伝播有限会社」である。
オフィスの中には映像編集のための専門ブースを1つ備えた制作部門や、写真撮影ができるスタジオもある。そこまではCMや映像の制作会社にはよくある光景だが、特徴的なのはオフィスの中心部を占める廊下に白い扉が約2メートルおきに並んでいて、それぞれが小部屋になっている点だ。扉の上には電球が1つついており、それが灯っていれば個室が使われている合図だ。所属するネット生中継のパフォーマーには、この小部屋が1つずつ与えられている。これが中継部屋、いわば彼らの仕事場である。毛毛がいたのもその1つだった。
「爆発的な増長期の段階」
この会社を立ち上げた汪剣鳴CEO(35歳)は、ネット生中継の現状を「爆発的な増長期の段階にある」と表現する。自ら持ち出した40万元(約640万円)と投資家から集めた資金、合わせて440万元(約7040万円)で、友人と3人で会社を始めたのが昨年7月。取材時には立ち上げから4カ月だったが、すでに黒字が出始めたと話していたから、その「爆発的な増長期」の勢いにうまく乗ったといえるだろう。会社には毛毛を含む12人のネット生中継のパフォーマーを専属させているという。
「パフォーマー間の競争は非常に激しいですよ。100人が生中継をして2カ月経ったら1人しか残っていないのが現状です。有名とされるパフォーマーは1万人に1人です。なぜなら、たとえば伝統的なモデルなどの業界と違って、生中継ではリアルな自分を何時間も見せなくてはいけません。さらに随時、視聴者の反応を見る必要もあります」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら