そのためネット生中継のパフォーマーがイベントに参加する場合に、イベントを主催した企業から支払われる報酬はファンの数によって決まるという。2時間から4時間程度のイベントで、10万人のファンを持つパフォーマーなら日本円で数十万円、100万人なら200万〜300万円が相場という。
1000万以上のファンがいれば、企業が支払う費用は大スター並みの数千万円に上るという。そこに生中継パフォーマーをマネジメントする会社の商機があったのだ。実際に汪の会社で目にしたケースでは、パフォーマーがただゲームで遊んでいる様子を生中継していた。そのときは、何が面白いのだろうかといぶかったが、パフォーマーたちは最後にはちゃっかりそのゲームをダウンロードできるサイトのURLを生中継の中で紹介していた。
汪の会社は、所属するパフォーマーたちに「仕事場」である中継部屋を提供する以外に、リアルタイムで生中継をモニターし、内容を指導している。インストラクターを呼びダンスレッスンも課す。その様子はタレントの養成学校のようでもある。パフォーマーたちのトークやダンスの水準が向上すれば、視聴者が増える。視聴者が増えれば、そのパフォーマーの値打ちが上がる。パフォーマーの商品価値がこのように決まる仕組みを、汪は「ファン経済」と呼んだ。
アイドルはネットビジネスを目指す?
「ファン経済」の強みが如実に現れるのが、ネットショップだ。これは生中継のパフォーマーとは限らないが、ブログやSNSなどで人気を集めたネットアイドルたちの開いたネットショップの販売力が、本格的に注目されるようになったのは2015年である。中国では1が並ぶ11月11日は「独身の日」と称して、1年で最大の販促イベントになっており、各ネットショップはその日限定の大幅な値引きをして売り上げを伸ばす。
ある調査によれば、2015年の「独身の日」に、ショッピングサイト最大手タオバオで、売り上げトップ20の女性服のネット店舗のうち11店舗がネットアイドルの店だったという。
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