夜景にこそ、その都市の活力が表れる。日暮れから何時間経ってもビルの窓が煌々(こうこう)としているのが中国随一の経済都市、上海の日常だ。日系の広告会社に勤める鄔智駿(38歳)が時間を割いてくれたときも、午後10時をすでに回っていた。鄔の働くオフィスは、広いフロアがガラスやシェルフで仕切られ、いかにも広告会社らしかった。
シャワールームもある。夜を明かすことさえあるという。その彼が残業で遅くなったときや仕事の合間に見て楽しむのがネット生中継だという。気分転換になるそうだ。
鄔のパソコンには、いくつもの生中継のチャンネルが「お気に入り」に登録してあった。その中でも、「桜子」が彼の最愛のパフォーマーだ。
お気に入りの女性に「エビ」を贈る
私と話をしている途中で、「桜子」の生中継が始まった。自動的にパソコンに生中継画面が開くように設定してあったらしい。桜子は目が大きく透き通るような肌をした魅惑的な女性。鄔が早速、カタカタとキーボードを打ち始める。生中継画面上に「こんにちは、美人さん。きょうはとってもかわいいね」と彼が「語り」かけたメッセージが表示される。さらに、「今、エビをあげましたよ」と教えてくれた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら