28歳女優が私生活をネットに生中継するワケ 「ネット生中継は夢をつくる機械です」

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これまでは北京郊外の別荘に住んでいたが、そこを引き払って3カ月前に引っ越してきたという。周囲に映画業界の人たちが多く住んでいるから、と教えてくれた徐はとてもうれしそうだった。

「多くの人が女優やスターになりたいという夢を抱くでしょう。私もスターになるのが小さい頃の夢でした。でも夢は夢でした。実現する方法はありませんでした。だから私も皆と同じように普通の生活を選んでトリマーを仕事にしました。ペットがとても好きで毎日犬や猫と過ごすのが楽しかったです。でもネット生中継によって私は夢を実現することができました。もちろん始めた頃はそんなこと考えてもいませんでした」

トリマー時代に大会に出た際の写真

トリマーの頃の写真を見せてもらった。ピンクのエプロンを着け、左手でトイプードルの口元を押さえ、右手でハサミをかざしていた。表情は真剣そのものだった。顔の造作は今と同様整っているが、輪郭は少しふっくらしていた。そしてずっと控え目な印象だった。

ネット生中継は「夢をつくる機械」

今、私の目の前に座っている徐は、写真の頃よりもずっと明るい表情で、自信にあふれている。

「ネット生中継は本当に奇妙なハイテクです。ネット生中継を始める前は、私は普通の平凡なペットのトリマーで、店のオーナーで、毎日ペットの相手をしていました。でもネット生中継によって人脈もできて本当に女優になれました。想像もしなかったことです」

自宅でのインタビューの際に撮影、北京にて

そこまで言うと彼女は、視線を落としてうーんと一瞬考えた後、再び顔をぱっと輝かせてこう続けた。

「一言で言うと、ネット生中継は夢をつくる機械です」

本人はその表現が気に入ったらしい。もう1度「夢をつくる機械」とつぶやいていた。

宮崎 紀秀 ジャーナリスト

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みやざき のりひで / Norihide Miyazaki

日本テレビ報道局、社会部警視庁担当記者、外報部デスク、中国総局長などを経て現在はジャーナリストとして北京在住。主に「バンキシャ!」「ミヤネ屋」「ウェークアップ!ぷらす」など日本テレビ系列で放送する報道番組にコンテンツを提供。中国がらみのルポを得意とする。

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