「仕事レベルの英語」を最短習得する人の秘密 純ジャパニーズ×英語ネイティブの日米対談
上乃:実際に外国に行って、生の体験ができればベストでしょうね。でも、誰もが留学できるわけではないから……。ほとんどの人が、1年などの長い間、外国に行くのは難しい。
じゃあ、英語学習をあきらめるべきかというと、そんなことはなくて、たとえばインターネットで得られる情報を活用すればいくらでも実践的な勉強ができるんですよね。『純ジャパニーズの迷わない英語勉強法』の中でも、インターネットの活用法については随所で触れています。私がアナログで勉強していた時代に比べたら、今の環境は格段に良くなっています。
実際に勉強を始めて、ある程度の基礎が固まったら、次は実際にアウトプットしなくてはいけませんよね。日本人はここがどうしても苦手……。
ファクラー:最初から完璧を求めないことです。限られた数の単語しか知らなくても、コミュニケーションはできる。今ある限りの知識を使って意思を伝える訓練が、実は外国語のセンスを磨いていくんですよ。とにかく話してみてほしい。
上乃:同感です。
ファクラー:言語って、生き物のようなものですよね。学校で学ぶための「科目」ではなく、もっと身近な存在でしょう。わからない単語があれば、How do you say?(どう言うんだっけ?)って、聞いてしまえばいいわけだし。
上乃:外国の人は、すぐにそれができる。でも、日本人は発言することをためらってしまう傾向があるんですよね……。
ニューヨークタイムズへの採用が決まったとき、ファクラーさんからは“Your job is to make Japanese people talk to us.(日本人に話をさせるのがあなたの仕事だ)”と言われました。
日本人の場合、たとえそれが日本語であっても、話すという行為を控えてしまう人が多い。恥ずかしいとか、間違ってはいけないとか、自信がないとか。まずはその感覚を取っ払わないと外国語習得の最初のハードルを突破することができない。
失敗するから覚えられる
ファクラー:日本では、アメリカに比べて、自由に質問をしたり、議論をしたりという土壌がないでしょう。語学を学ぶという点からすると、もっと大胆になったほうがいい。語学習得は、恥をかき捨てるところから始まります。「恥ずかしい」なんて思っていてはいけないんです。
そもそも、間違えると覚えるでしょう。だから、語学学習において失敗はいいこと。間違えることは、まさに学習していることの証だと思っていい。学校における語学学習法とは、正反対のものと考えることです。
上乃:そうですね。学校における語学教育は、試験で100点を取ることを目指しているから、どうしても間違いを避けるようになってしまうし……。
ファクラー:そうなると、間違いを恐れて皆の前で話そうとは絶対にしないよね。間違ったら評価されないわけだから。語学を学ぶうえで、これは最悪の姿勢ですね。
学校で語学を習う場合、この文法は間違っているとか、こっちのほうが正しいとかの話になって、どうしても〇か×かになってしまう。