「仕事レベルの英語」を最短習得する人の秘密 純ジャパニーズ×英語ネイティブの日米対談

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ファクラー:横並びの日本の新聞は一時読むのをやめたほどだけど、日本文学はすばらしくて、小説にのめり込んだ。安部公房をはじめ、筒井康隆、志賀直哉とか。すごくたくさん読んだよ。

上乃:外国語の上達には、読むことも欠かせませんよね。とにかく多読をする。英語のレベルアップのために、私も学生時代には英語の本をたくさん読みました。

ファクラー:辞書を傍らに置いて、わからないと調べてね。漢和辞典も用意して、「この漢字は言偏だから、言葉に関係する漢字だな」とか考えながら。そうやって日本語を学んでいった。知識が増えていくにつれて、「この単語はだいたいこんな意味だろう」と推測して読み進めたりね。

上乃:英語でもまったく同じです。多読と同時に速読もしながら勉強しました。「言偏」という言葉が出たけど、英語でも「con」とか「ex」といった接頭語があって、そこから意味を推測して、それでもわからないときは辞書で調べたりして。

ファクラー:語源がラテン語やギリシャ語の単語が多いからね。何を読むかもキーになるよね。興味のあるものを見つけられれば、読むのが楽しくなる。多少難しくても、面白ければもっと読みたいという気持ちが勝るしね。

上乃:外国語を学ぶときのプロセスは、どの言語であっても共通点は多いですね。多読や速読以外にも、発音やリズムを意識して音読することも大切だし。自分にあった方法を考えて勉強するのも楽しいです。

顔面蒼白、卒倒しかけた経験が生きてくる

ファクラー:語学力を伸ばすには、使わなくてはいけない状況に自分を追い込むことも必要だね。今は外国人が増えているし、職場の上司や同僚が外国人でも珍しくない。そうなると、どうしても英語を使わざるをえなくなる。必要に迫られるから、身に付くんですよ。仕事で話さなくてはならないというのは、いいモチベーションのひとつになるよね。

上乃:そう。そういう体験。簡単なところに流れていくのではなくて、使わなくてはいけない環境に自分を追い込んでいくのがすごく重要。

私がロサンゼルスタイムズ東京支局に入社したばかりのころ、まだまだ英語ができなかったんです。ある日、特派員と一緒に野村證券を訪れて、先方の部長の話を通訳したことがありました。経済の話を延々とされたんですけど、内容がまったくわからなくて、満足に通訳できませんでした。「どうしよう、どうしよう」と顔面蒼白になって、卒倒しかけたほど(笑)。

当時の上司から「あなた、それで本当に大丈夫? でもこれができないと、クビよ」って言われて。そうなったら一大事。追い込まれて、新聞を猛烈に読んで勉強しました。そうやって鍛えられて、どうにかやってこられた……。

ファクラー:そういう状況に置かれたから、生き残るためにやらざるをえなかったんだろうね。沈み込まないように、必死にあがいて。

外国語を身に付けるには、その言葉が話されている環境に入るのがいちばんでしょうね。そうじゃないと、単語をせっかく覚えていても、使わないで忘れてしまう。苦労して自分の言いたいことを伝えたという経験をすると、絶対に忘れない。たとえば、電話でピザを注文できたら、それだけで大きな自信にもつながる。

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