「つらい記憶」をバッサリ断ち切るための心得 過去の出来事はもうそこには実在していない

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いつまでも引きずらないようにするには(写真:xiangtao / PIXTA)
桜も散り、初々しかった新入社員も、少しずつ会社に慣れ始める頃。「お客様待遇」でチヤホヤしてくれた新入社員研修も終わってしまえば、ほかの先輩社員と変わらない、一ビジネスパーソンです。にこやかに接してくれた先輩、おおらかに未来を語ってくれた上司も一変。仕事が遅ければ注意もされ、ミスを重ねればお説教が待っています。学生時代とはあまりにも違うビジネス社会の環境のギャップに、どの新入社員も戸惑っていることでしょう。
こんな「通過儀礼」や「愛のムチ」。誰しもが通る道ですが、最近は、「しかられる」ことに慣れていない学生も多く、上司も「はたしていつから厳しくしたらいいのか」と悩むといいます。「あまり厳しくして辞められても困る……」そう上司が恐れてしまうほど、打たれ弱い社員がいるからです。
『「感受性」を調整すれば もっと気楽に生きられる。』の著者、平林信隆氏がそんなトラウマの克服法を解説します。

 

もちろん新入社員のほうにも問題があります。この「通過儀礼」が「愛のムチ」だと理解してくれればよいのですが、「しかられた!」「コワイ!」「もう近づきたくない」「僕はできないんだ……」となってしまえば、負の思考の連鎖。自信を失うどころか、仕事のやる気までも失ってしまう。そんなケースが多いのです。

事実、中小企業では3人1人、大企業でも1割の社員が新卒1年間のうちに職場を去っていきます(厚生労働省統計より)。これでは、苦労して獲得した内定も元のもくあみです。ですが、打たれ弱いという自己認識がない人にも、しかられた経験が「トラウマ」となって心にこびりつくということが、新入社員に限っては起こりえます。

なぜなら、会社に入り上司にしかられる、というシチュエーションが人生初めての経験であり、彼らにとって未曾有の経験であるからです。人の心というものは、順応性には高いのですが、まったく経験したことのないものに対しては、対応しにくい特性があります。新入社員が離職の理由に「しかられた」経験を挙げるのは、このような心性によるものなのです。

部長の怒鳴り声と怒り顔が、心にこびりついてしまった

あるメーカーに新卒で入り、営業部に配属されたMさんの話をしましょう。なんでもそつなくこなし、アルバイト経験も豊富なMさん。学生時代のアルバイト時代は勤務先から正社員登用の誘いを受けるほど、職場で評価されていました。かといって生意気なところも驕りもなく、新入社員研修を終え、与えられた仕事を黙々とこなしていました。その日も、先輩から教えられたとおりに仕事をこなし、終業時に部長に報告に行くことに。

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