箱根が再開発で高級化、沸騰する「湯煙戦争」

藤田観光はじめ大手ホテルの再開発が続々

日本のリゾート施設は1980〜1990年代に造られたものが多い。箱根もその時期に建てられたホテルや旅館が多く、老朽化した設備を全面改修するタイミングにも当たり、ここで再開発して客単価を上げ、収益性を高めたいとの狙いも透けて見える。

箱根の年間観光客数は約2000万人。2015年に大涌谷の火山活動が活発化し、入山規制が行われた際には減少したが、リーマンショックや東日本大震災など環境の激変下でも、他エリアより客数は安定していた。

都心からほど近くで日本旅館を体験できるとあって、外国人観光客の人気も高い。2015年は前年比1.7倍の37万人が宿泊しており、伸びしろも期待できる。

滞在の長期化を狙う

ただ、そのポテンシャルを生かし切れているとはいえない。宿泊者は年間400万人と宿泊比率は低く、大半が1泊2日の滞在だ。立地には恵まれているが、観光資源は多くない。大涌谷を除けば、「美術館を巡る、(芦ノ湖の)遊覧船に乗るぐらいしか、やることが思いつかない」(箱根のホテル関係者)。

当記事は「週刊東洋経済」4月22日号<4月17日発売>からの転載記事です

そのため、藤田観光は今回、天悠の開業に合わせて周辺ホテルと連携し、互いの顧客を送客し、地元業者と提携したアクティビティも企画する。

かつて顧客層は団体、修学旅行に依存していたが、より長期滞在・高付加価値型として個人客を狙うリゾートを目指す方針だ。「天悠は第1弾、今後も箱根エリア全体の活性化に取り組んでいきたい」と、瀬川社長は勇み立つ。

ただ、首都圏に近すぎるがゆえに、週末は渋滞が頻発している。宿泊施設やアクティビティが充実しても、旅行者の足となるバスは運行する小田急電鉄系列と西武鉄道系列で1日乗車券の共有化もされていないなど、利便性に課題は多い。施設の再開発で思惑どおりに顧客がついてくるのか、懸念点は依然多い。

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