「糖質制限」は一過性のブームで終わらない すでに社会的な革命を起こしている

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──すでに多数の関連著書を書かれた今、あえて集大成の本を出されたのは?

機が熟したということですな。題名に「革命」とつけたくらいだから強調したいことはいっぱいある。栄養学や医学における意識革命、産業界、社会全体の革命につながる。

周囲を見てもコンビニ、外食チェーン、食品メーカーで糖質制限食の開発が相次ぎ、その市場は昨年3000億円超、今年は5000億円とかいわれてる。産業に革命が起きつつあると考えてもらったらいい。すでに製品化されてる糖質ゼロビール系飲料とか麺とか、今後糖質制限が世界中で成熟していくとき、ものづくりで先行する日本企業が輸出力を増す。雪崩を打っていろんな産業・業態が参入していくやろうね。

糖質制限の習慣が定着すれば糖尿病の合併症リスクが減り、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞を予防でき健康寿命が延びる。高齢者の生活の質は向上し、消費の面でプラスの経済効果も表れる。そして、かなりの部分が糖質過多を原因とする生活習慣病が半減すれば、治療にかかっている医療費が私の試算では2兆5000億円削減可能。ここに糖尿病予防による削減分を加えると、糖質削減食による医療費削減の総額は3兆5000億円の巨額になる計算が成り立つ。

スーパー糖質制限食を推奨

──1日3食主食を抜く、糖質摂取量30~60グラムのスーパー糖質制限食を推奨されていますが、米国の1日130グラム以下と比べ厳しいですね。

『江部康二の糖質制限革命』(東洋経済新報社/192ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

米国の130グラムはあくまでも糖質制限食の定義やからね。スーパー糖質制限食がベストだけど、昼だけ主食を食べ1日70~100グラムの糖質を取るスタンダード型でも、夕食だけ抜くプチ型でも、何でもいいからやらんよりやったほうがマシなんです。栄養表示に糖質を表示している商品はまだ少ないけど、炭水化物の表示を目安にできる。糖質は炭水化物から食物繊維を引いた量。一般には炭水化物のほとんどが糖質で、少なくとも、炭水化物の量がその食品の糖質量の最大値と取ればいい。

勤め人が昼飯で主食抜いた分をタンパク質や脂肪でしっかり埋めるのは難しいという方もおるけど、そんなことない。コンビニに糖質制限に向いた総菜がなんぼでもあるし、食べ足りなかったら空揚げ1、2個追加すればいい。カロリー制限は無視無視!

(聞き手:本誌・中村陽子)

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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