知っておこう!「独学」で進むための思考法 自らを「主人公」にして勉強する真の価値

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鬼頭私は職業柄多くの受験生に会うのですが、本はECサイトの利用者レビューで決めるという人が相当数います。そうすると、レビュー評価の高い本に選択が集中してしまい、書店でパラパラ読んで選ぶのに比べて、本当に自分に合った本に出合いにくくなってしまうのではないかと感じます。

柳川それはどちらでもいいと思います。本屋に行っても、すべての本を見比べることはできませんし、結局平積みにしてある割と売れていそうな本を手に取ることになると思いますので。評価が高い本や売れている本を手に取ることは、すべての本を試すことができない以上、1つの効率的な本の選び方だと思います。

ただし、実際に読んでみて「ちょっと違うかも……」と感じたら、もったいないですが別の本なり方法を探す割り切りは大事です。「皆がいいって言っているから」「もう買っちゃったから」と使い続けるのは、かえって大事な時間を無駄にしてしまいます。

「自分に合う」と感じた本を自分なりに解釈しよう

鬼頭自分に合った本が見つかった場合、その本の読み方や使い方で気をつけたほうがいいことはあるんですか?

柳川勉強本だと、ベストな勉強の仕方は個人によってずいぶん違うと思うので、自分なりにカスタマイズしてみることです。本の内容を少し変えて実践してみるとか。あとは自分に合う方法を考えてみること自体が勉強するうえでの重要なポイントでしょう。

独学をするうえで、自分がこの勉強法でどこまでマスターできているのか、うまく進んでいるかを客観的に見つめられることは大切です。頭の中で、自ら自分自身をフィードバックする癖をつけてみましょう。この、自分を客観視して軌道修正していく能力は、非常に重要です。資格の勉強でも、資格を取った後の実際の仕事でも全般的に役立ちます。

ただ残念なのが、このように考える機会が実はどんどん減っていることです。というのも、今の時代はかゆいところまで手の届くようなきめ細かい参考書がそろいすぎていて、もう、ひたすら書いてあるとおりにやっていけばいいと感じてしまうことがあるからです。一見効率がいいように見えますが、本人が自分で登っていく力、自分で「考える力」を相当そぎ落としている部分があるんじゃないかなと心配しています。

「結局は『考える力』が大事だ』と話す鬼頭氏(撮影:梅谷秀司)

鬼頭確かに、私が今まで会ってきた受験生の中にも、箸(はし)の上げ下げまで指示してほしいというような人が結構多いです。「何時に寝ればいいんですか?」と聞かれることもありました。

批判的に考える力は何事にも必要ですよね。私もニュースに触れるときに、報じられていることが本当なのか、本当だとしてそれがどういう意味を持つのか、という視点を、特に起業してからは強く意識しています。

柳川実際に仕事をしたり、ビジネスをやったり、あるいは研究を進めていく中では、自分で何かを考えるプロセスがないとうまく物事を進められないですよね。単に字面を追って頭にたたき込むだけでは、やはり理解は薄いものになってしまう。自分なりの視点でその文章を評価できるようにすることは重要です。

鬼頭そのように考えたら、独学でも知識から展開していく「考える力」やディスカッション能力が身につきそうですね。

柳川そうですね。私が思う独学とは、1人で勉強するという意味ではなく、自分のペースで勉強を進めるということです。なので、自分のペースを守ることができれば通信講座や予備校を受講していても独学になると考えています。参考書やテキストと会話をするような形にしていけば、ディスカッション能力や自分で考える能力もきちんと身につくと思います。

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