「しつけ第一」で子どもをスポイルする親たち 一番大切な「基本的信頼感」が育たない

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この子たちのように、いつも親からしかられてばかりいると、いろいろな弊害が出てきます。いちばんの問題は、やはり自己肯定感と他者信頼感が持てなくなってしまうことです。

「基本的信頼感」があれば、子どもは伸びる

最新の児童心理学、教育心理学、児童精神医学などの分野において、子どもの頃にまずいちばん大切に育てるべきものとして、多くの専門家が自己肯定感と他者信頼感の2つを挙げています。

そして、この2つをまとめて「基本的信頼感」と呼ぶ場合もあります。これさえあれば、子どもはよい方向に伸びていくことができるということが、もうはっきりわかっているのです。

以前は、子どもの頃にまずいちばん大切に育てるべきものとして、しつけを挙げる専門家もいました。でも、今は皆無です。

多くの事例研究から、しつけを優先するとどうしてもしかることが増え、それによって子どもは自己肯定感と他者信頼感が持てなくなり、よい方向に伸びていけなくなるということがわかったからです。青少年犯罪を起こしてしまう子どもたちも、この2つが欠けていることが多いということもわかっています。

でも、実際の子育ての現場では、いまだにしつけを最優先にしている親たちが多いのが実状です。先ほどの2人の子の親たちほど極端でなくても、「子どものうちにしつけなければ!」という強い思い込みを持っている親はけっこうたくさんいます。

もちろん、私もそういうしつけがまったくいらないとは言いません。できる範囲で身につけさせてあげることは大切です。そのためには、なぜそうすることが必要かを話して聞かせ、親が見本を見せ、やりやすいように工夫してあげて、少しでも子どもができたら褒める……。このようにしながら、だんだんできるように導いていくことは大切なことです。

でも、それでも親が思うほどできるようにならないことが圧倒的に多いのです。それが子どもというものなのです。ですから、「忍」の一字で長い目で見てあげてほしいと思います。子どもの将来は先が長いので、今のうちに完璧な人間にする必要などないのです。

「子どものうちにしつけなければ!」と思いすぎて、しかり続けるのだけはやめてください。いちばん大切な自己肯定感と他者信頼感を傷つけてまでおこなう必要はない、ということを強調したいと思います。

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