株主総会議事録から見える、東電のホンネ 希薄な加害者意識、除染は「お客様対応」と無責任発言も

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再び高まる、東電への不信感

「地下水からのセシウムの検出についてですが、建屋からの漏洩が続いているものではなく、事故時に放出された放射性物質が降下し、そのことによるものと考えております」(内藤義博副社長)(→同(3)の7ページ

(東洋経済記者による解説)東電の見方では説明がつかず、原子炉建屋周辺から高濃度の汚染水が漏れ出しているとの認識を7月22日に廣瀬社長がようやく明らかにした。この場合、これまでにない大規模な対策が必要になる。すでに、地元漁協の反発が強まっている。

「放射性物質に汚染されました廃棄物あるいは除染に伴い発生いたします土壌の処理等々につきましては、法令に基づきまして処分等が進められることになってございます。(中略)当社敷地の提供につきましては、敷地の確保でありますとか、あるいは地元の皆様のご了解を得る、このへんが大変困難である、非常に厳しい状況でございます」(増田祐治常務執行役)同(4)の6ページ

「廃棄物処理に関する諸施策につきましては、国から協力要請がある場合には真摯に対応させていただく所存でございます」(増田常務)同(5)の2ページ

「福島県外の除染活動。これにつきましても各自治体の方々と相談させていただきながら、地域のお客様対応の一環としてですね、可能な範囲でご協力をさせていただいているところでございます」(増田常務)(→同(5)の9ページ

(東洋経済記者による解説)福島県内や関東地方では、高濃度の放射性物質に汚染された廃棄物の処分をめぐり、「候補地」とされた自治体や住民から反発が強まっている。除染で発生した土砂の仮置き場確保も容易でなく、「東電が原発の敷地内で引き取れ」と主張する住民も少なくない。

それが簡単でないことは確かだが、東電が除染や廃棄物処理にどう主体的にかかわっていくのかについて、はっきりした姿勢は見えない。あくまでも「国から協力要請がある場合に」という条件付きでの協力にすぎない。福島県外での除染については「お客様対応の一環」としての「可能な範囲でのご協力」という東電幹部の発言は、社会通念に照らした場合、無責任に聞こえる。

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