明るい家庭での厳しい躾けが大切 心の伴わない形式的な礼儀など不要

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健全な心は健全な家庭で育つ

私は一時期、年中不機嫌な顔をしている人と暮らしていたことがあり、それはそれは憂鬱な時代でした。学校や社会で嫌なことがあっても、ほっとできる家庭があれば救われたのですが、毎日帰る家庭が暗いと、心も萎縮するものです。その不機嫌が家庭を支配し、若者特有の夢を描くどころではない時期がありました。きっと私自身、他人への不信感をみなぎらせた嫌な人間だったはずで、恥ずかしくなります。

その人がある日、私とは関係のないことで、楽しそうに笑って家に帰ってきたのです。私に向けられた笑顔でないのはわかっていましたが、それでも私の心も瞬間に晴れて、私も笑っていいのだととてもうれしくなったのを鮮明に覚えています。それは一瞬にして終わりましたが、明るい家庭で暮らす者の幸せを、一瞬でも思い出させてくれた、いまだに忘れない遠い日の記憶です。

健全な家庭で育った友人の、人を疑うことを知らない素直で明るい伸び伸びした性格に接したときなどにまぶしく感じたることもあれば、自分の小さな性格が見破られないかと、オドオドした時期もありました。まさに健全な心が健全な体に宿るように、健全な心は健全な家庭で育まれるものだという実感です。

このような経験を持っていますので、明るい家庭がどんなにすばらしく重要な意味を持つものであるかは、身にしみています。人生のベースキャンプが火宅である場合の不幸は、到底、言葉で説明できるものではありません。

この学生さんのご両親は、すばらしい方ですね。明るく元気な家庭と厳しいしつけ。当たり前のようですが、実現できている家庭は多くはないと思います。もっとすばらしいのはこの学生さんです。ご本人がいつも笑顔でいられるのも、元気で明るい両親のおかげと、それを空気のように当たり前と思わず、感謝しておられる点が、若いのにすばらしいと思いました。

一流大学を出ているのに、あいさつの仕方も知らない若者が増えたとよく話題にでますが、勉強優先しつけは後回しで、結局、しつけられる間もなく社会に出た頭でっかちの若者が増えた結果だと思うのです。本当に無礼な若者が多いのには、私も辟易しています。両親がいつも元気で明るく、そしてあいさつや人間関係の基本を厳しくしつけられたお父上の教育の成果が、両親にも返ってきている好例ですね。うらやましくもあり、大いに反省した次第です。

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ミセス・パンプキン 『最強の人生相談』『一流の育て方』著者

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立命館大学卒業。ビジネスパーソン向けの家庭問題・人間関係・人生相談の専門家として、東洋経済オンラインで2012年より執筆。最新刊は『最強の人生相談』(東洋経済新報社)。息子であり、『最強の働き方』(東洋経済新報社)の著者であるムーギー・キム氏との共著に、『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』(ダイヤモンド社)がある。ミセス・パンプキンへの相談は、こちらのメール、あるいは相談受付サイトで受け付けています。なお相談件数多数につき、過去に類似する相談があった場合には取り扱いません。ぜひ、これまでの連載をご参照ください。男性からのご相談も歓迎しております!

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