瀕死の危機「伝統工芸品」を救う術はあるのか 中川政七が語る工芸品再生プラン

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そして産業観光。百聞は一見にしかずで、店でスタッフがいくら説明するより製造現場を見て初めて「なるほど、こう作ってんねんな」と、手間暇かけていることがわかり、値段に見合った価値が伝わると思うんですね。

木造平屋の雰囲気のいい建物で製造工程を見られる状況を作る。近くにおいしいご飯といい宿があって初めて“旅先”になれる。そこまで意識しないと産地の未来はないよね、というのが僕らの理屈ですね。

──観光客を誘致したい地方自治体のニーズとも一致しますね。

6月7日(水)銀座 蔦屋書店にて、中川政七氏のトークイベント「日本の工芸を元気にする!~工芸大国日本への道のり~」を開催します。詳しくはこちら

そのときに単独の会社じゃなくて、協会というほうが自治体は組みやすいんで11社で日本工芸産地協会を立ち上げました。でも起点になるのは各地の一番星工房。一番星が立ち上がって、点から面に広げていく。中川政七商店はあくまでも仲介役みたいな感じで、流通、情報はサポートしていくし、必要なプラットフォームは整えていきます。

自治体の側も、一律にカネをバラまく従来方式をやめて、可能性のあるところに資源を集中投下して、税収で戻ってきたらいいじゃないか、という動きが徐々に出始めています。

──「さんち商店街」というサイトも立ち上がる。ハイクラスなセレクトショップが、大衆的になる感じ?

いわば工芸品専用モールみたいなものを目指します。地方の工芸メーカーが独自にサイトを立ち上げても誰も知らないから売れない。そこで、工芸品がいろいろ買えるモールを作ることで、土俵に上がれる。工芸のアマゾン、楽天といった感じです。

あの面倒くささの大半は本質的じゃない

──それから「茶の湯のオープン化」計画にはひざを打ちました。あの世界、素人には敷居が高すぎる!

うちは茶道具屋でもあるんで。

本当はお茶の世界は楽しいこともいっぱいあるんです。一方で面倒くさいこともいっぱい。でもあの面倒くささの大半は本質的じゃないと思うわけですよ。料理でも今はガラス張りのオープンな教室が人気じゃないですか。お茶でも同じことができれば絶対楽しいと思うんです。足がしびれる正座をしなくても、イスとテーブルでもいいやん、とか。おもてなしが本質なのであって、正座すること自体が本質ではないんで。そういうことの取捨選択を丁寧にしながら、それを体感してもらえるような教室を準備しているところです。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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