日本の誇りを守るため「伝統文化」も変化せよ

なぜ、ここまで「ボッタクリ」がまかり通るか

アトキンソン氏が日本の伝統工芸に警鐘を鳴らす(撮影:尾形文繁)
日本の「国宝」を守るために立ち上がったイギリス人がいる。元ゴールドマン・サックス金融調査室長のデービッド・アトキンソン氏だ。国宝・重要文化財の修復を手掛ける小西美術工藝社社長の傍ら、日本の伝統文化財をめぐる諸問題の解決に向けた提言を続けている。
その集大成となる書籍『国宝消滅』の中で、アトキンソン氏は日本の「伝統工芸品」業界が抱える問題についても鋭く迫っている。今回は、「漆業界」の問題点を指摘してもらった。

 

国宝をはじめとした文化財が陥っている「窮地」を明らかにするとき、日本経済再生の道が見えてくる。規格外の知的興奮!

 

英語の「Japan」はもちろん「日本」のことを指しますが、「japan」と書くと、何を指すかご存じでしょうか? 答えは「漆」です。「漆」の技術や、それを使った「漆器」が日本を代表する伝統技術だということは、この言葉からも明らかです。

しかし、この大切な伝統技術が、現在、危機に瀕しています。先日、テレビで「日本産漆を使った漆器をつくっている職人」が取材されているのを見て、私は大変驚きました。こういった職人を探し出せたのは、統計上奇跡に近いことだからです。

日本では年間約50トンの漆が使われていますが、そのほとんど(98%)が中国産で、日本産漆はたった1トン。その日本産漆も、ほとんどすべてが文化財の修繕に使われているのです。

さらに、その文化財ですら、明治以降の復元では、中国産の漆を多用してきました。下村博文文部科学大臣(当時)の英断によって、2018年4月からは国宝級の文化財の復元には100%国産の漆を使うという変更が行われましたが、それまでは中国産を7割と、日本産を3割ほど混ぜて塗っていたのです。

今回は、この「漆」にまつわる問題を解説していきたいと思います。

次ページ日本の漆と信じて購入した京漆器が……
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