日本の誇りを守るため「伝統文化」も変化せよ なぜ、ここまで「ボッタクリ」がまかり通るか
1枚あたりの値段の正当性を確かめるために海外産の金箔を調べてみたところ、その不信感がより深まる結果になりました。中国の会社が売っている金箔を実際に買ってみると、「金沢箔」についているものと同じ説明書きがついてきたのです。
その中国の会社に問い合わせたところ、それを日本のどこに納めているかまで教えてくれました。何と、近年この「金沢箔」として売られているもののなかに、実は安価な中国産金箔がかなりの割合で紛れ込んでいたのです。
法律ではなく「モラル」の問題
そんな馬鹿な、と耳を疑う方も多いと思うかもしれませんが、これは事実です。「金沢箔」というものを単なる金箔の商品名のようにして、中国産金箔を売っている業者が存在しているのです。「金沢箔」だから金沢の職人がつくったものだと思って購入している消費者にとっては、詐欺も同然の話が横行しているのです。たしかに法律には触れないかもしれませんが、モラルとしては大問題でしょう。
また、伝統技術の場合、問題を深刻にしているのは、被害がそれにとどまらないということです。
中国産金箔が多く流通するということは、それだけ金沢の金箔職人が仕事をする「機会」が減るということですから、収入が減るのはもちろん、技術の継承もできません。「金沢箔」という伝統技術にとって非常に大きなマイナスなのです。このまま中国産金箔が普及していけば、金沢箔も、いつの間にか中国産漆にとって代わられてしまっていた国産漆と同じような運命をたどってしまうでしょう。
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