ハレとケが、日本文化には根づいている 日本人のための着物についての「教養」

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「ハレ」の日に適した着物をご存じですか?(写真:Taka / PIXTA)
父親の代から京都で高級呉服を商い、2001年に銀座にアンテナショップ「銀座きものギャラリー泰三」を開店した高橋泰三氏。皇室に着物を献上し、歌舞伎の衣裳も手掛けたことがある高橋氏に、着物にまつわる日本文化の奥義を聞く。シリーズ4回目は「ハレとケ」について。

前回の記事:実は女性が着物に家紋を入れるのはおかしい

 

民族学者の柳田國男は、日本人の生活には正月や盆といった年中行事や冠婚葬祭などの非日常的な行事が行われる「晴」とそれ以外の日常的な「褻」があるとして、その循環リズムから日本の文化を分析した。柳田は近代化により「晴(ハレ)」と「褻(ケ)」が曖昧化していることを指摘したが、それは着物の世界にも押し寄せている。

紬の着物は日常着

たとえば紬だ。「大島紬や結城紬などは伝統的な技術を用いて作られ、中には非常に高価なものがあります。しかしそもそも紬とは、生糸を引き出せないくず繭からとりだした糸をよって織ったものです。絹織物といえどもかつては農民の日常着として用いていました」

高橋氏はこう解説する。

「ところが最近では、お茶の席に紬を着てフォーマルな袋帯を締める人がいるといいます。しかし、いくら素晴らしいものであっても高価であっても、紬の着物を公式の場所に着ていくのはどうでしょうか。私的な茶会や大寄せなどのカジュアルなお茶席なら紬を着用してもいいのですが、初釜のようなフォーマルなお茶の席には、訪問着や付け下げなどを着る方が無難ですね」

茶道は村田珠光に始まり、武野紹鴎がいぶきを吹き込み、千利休が大成させた。その神髄とするのは、「わび・さび」の思想だ。

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