応募条件は入社時に18歳以上、または応募時に30歳以下であれば、新卒・既卒を問わず応募できる。職種はエンジニアやデザイナー、営業職など全職種を対象としており、通年で応募が可能となっている。既卒の場合には入社時期は通年で選択可能、新卒の場合には卒業時期に合わせて4月もしくは10月入社としている。他社で就業経験のある既卒者であっても、新卒者と同じ基礎的な教育研修から受けられるのが特徴だ。
ヤフーのポテンシャル採用は、従来の「既卒者も応募可能な新卒求人」とは、考え方が根本から異なる。既卒者も応募可能な新卒求人では、あくまでも募集のメイン対象は新卒者であり、既卒者も入社時期は4月(または10月)とされる。これに対してヤフーのポテンシャル採用は、募集の対象は新卒者を含む、18歳~30歳の人すべてである。
つまりメイン対象が新卒者とされているわけではない。それどころか新卒者は募集対象の一部でしかないといった方がいいだろう。したがって、入社時期は4月に限定されることなく、通年である。新卒者の場合には卒業時期を考慮して、4月もしくは10月入社となるだけである。
即戦力というより、入社後に育成する
既卒者も応募可能な新卒求人では、本来は新卒者を対象とした採用枠を既卒者にも開放しているわけで、既卒者から内定者が出れば、その分だけ新卒者の採用枠が減ってしまうことを意味している。つまり、既卒者にとっては応募企業の選択肢が広がりメリットのある制度ではあるが、新卒者からすれば自分たちの採用枠が狭くなる可能性を持った”歓迎されざる制度”といってもよかった。一方、今回のヤフーのポテンシャル採用は、新卒枠を既卒者にも解放したという考え方ではない。新卒者、既卒者の区別のない、若年層の採用枠という考え方に立っている。
新卒採用を語るとき、日本の新卒一括採用が学生の就活をダメにしている、ミスマッチによって3年で3割の早期離職者を生んでいる、もっと欧米の就職システムを見習うべきだ、といった意見が出てくる。
新卒一括採用廃止と聞くと、日本型の採用システムから欧米型の採用システムへと近づいたように感じられるが、今回のヤフーの考え方は、実は全く逆である。欧米型の採用システムへ近づくどころか、従来の新卒一括採用よりもさらに日本型の採用システムを強化した、といった方がよいだろう。
ポテンシャル(潜在能力)採用とは、日本の新卒採用における概念であり、入社後に自社で育てることを前提にしている。一方、欧米型の採用は、日本での既卒者採用に多いように、特定の職種やポジションを前提にして、就業経験やスキルを重視した即戦力採用である。ところが、今回ヤフーは、既卒者採用においても入社後の育成を伴う、日本独自の「ポテンシャル採用の概念を持ち込んだのだ。
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