オーディオは必需品ではなく感性重視の商品
──パナソニックの役員として「栄光のオーディオブランド」、テクニクスの復活を託されています。
ほぼ半世紀前の1965年に誕生し、1970年代はハイエンドオーディオとして人気だった。経営の選択と集中の中で休眠する時期もあったが、2014年に復活。市場は欧州、中でもドイツにあり、よく戻ってきたと喜んでいた。音には感動と思い出が結び付く。ただし、オーディオは必需品ではなく感性重視の商品であり、論理を超えたところにある。企業が組織で仕事としてやっていくには論理的でなければならないが、音響は論理だけではいかない。そこをどうインテグレートしていくか。
──オーディオの世界は激変に次ぐ激変です。
テクニクスの顧客ターゲットはオーディオ愛好家、つまりマニアないしオーディオを好きな人。加えて音楽愛好家、広くミュージックラバーを想定している。この人々としっかり向き合い、音にこだわり、その価値志向に見合うものを出していく。
ネット社会になって、どこでもどんな音楽も、いわば自分の手の内で聴けるような時代になっている。受け取るほうが期待する音響のダイナミックレンジも大きい。ストリーミングが当たり前であり、聴き放題、見放題の世界がどんどん広がり、その一方でライブの陶酔感にも浸る。多様性の中で価値観を保ちつつ、その担い手の一角を保っていきたい。
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