旭化成建材、63万円インサイダー摘発の深謀

上場グループ社員の株取引を規制強化か?

今回の事例は、このバスケット条項を適用した初の事例である。男性がバスケット条項を熟知していたかは定かではないが、まさか自分が初の適用例になるとは思いもよらなかっただろう。

今回、監視委員会があえて課徴金納付命令の勧告に踏み切ったのは、上場会社に関係した、グループ会社の社員などによるインサイダー取引についても、「今後は摘発していく」というメッセージを発した意味合いもありそうだ。課徴金の金額は大きくないが、今後のインサイダー取引の摘発に影響を与える重要な事件と言えるだろう。

当該社員が争う余地はあるのか?

まもなく金融庁からこの男性に対して、課徴金納付命令が出されることになる。その場合、男性は命令に不服があれば、異議を申し立てて法廷で争うことができる。

今後、同様の事例の摘発が相次ぐことになるのか(撮影:尾形文繁)

施工データの転用・加筆が旭化成の信用を一時的に貶めたとはいえ、その後の株価推移を見ると「投資判断に著しい影響を及ぼすもの」だったかどうかは争う余地があるかもしれない。

また、旭化成建材の施工した杭が支持層に届いていなかったのは事実だが、そのことが横浜市都筑区の分譲マンションが傾いた原因だったかどうかはなお調査中だ。仮に施工データの転用・加筆がマンションの傾きと直接関係がなくても「投資判断に著しい影響を及ぼすもの」といえるのだろうか。

バスケット条項による摘発が今後相次ぐならば、その影響は計り知れない。これまで野放しに近いインサイダー取引の実態を大きく変える強力な武器となる一方、一般の会社員が期せずしてインサイダー取引の実行犯となってしまう危険が大きくなるからである。

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