伊藤忠は「カラ売り屋」にヒステリックすぎる

露呈してしまった日本市場の"田舎っぺ"体質

7月27日、米国のカラ売りファンド、グラウカス・リサーチ・グループが発表したレポートに伊藤忠商事は文字どおり激怒した(撮影:今井康一)
黒木亮氏の経済小説に『カラ売り屋』(2007年)がある。米国のカラ売りファンドと日本の中堅ゼネコンの熾烈な攻防を描いた内容だ。日本でも今年7月27日に米カラ売りファンドがレポートを発行し、伊藤忠商事の会計処理に疑問を呈するなど、にわかに存在感が高まっている。黒木氏が見たカラ売りファンドとは何か、そして日本の企業には何が求められているのか。

伊藤忠の対応には驚きを禁じ得ない

米国の「カラ売り屋」(カラ売りファンド)グラウカス・リサーチ・グループに株をカラ売りされた伊藤忠商事の反応を見て、驚きを禁じ得なかった。

同社の鉢村剛CFOは「(グラウカスの)のレポートを読み終わった時、細かく免責事項を見ていなかったので、名誉棄損や株式操作の可能性もあると思ったが、免責事項を読むと、責任をとらないと書いてある。(グラウカスは)レポート内容に責任を持たない特殊なファンド」という趣旨の発言をしているが、日本の証券会社のものでも株のアナリスト・レポートには必ずディスクレイマー(免責事項)が付いている。

そういう土俵の上で企業は反論しなくてはならない。鉢村氏は自社のアナリスト・レポートを読んだことがないのだろうか? また法的措置の可能性に言及したり、「ポジションを持ってからレポートを出す倫理観はどうなっているのか」といった発言にも首をかしげた。

カラ売りファンドがポジションを持ってからレポートを発表するのはごく当たり前のこと。むしろ、レポートを発表して上下した相場で売買すれば、株価操作の疑いをかけられる。またレポートを発表したからといって、株価が必ず下がるわけではなく、逆に上がることもあるのである。

日本取引所グループの清田瞭CEOも鉢村氏と同様に、「(伊藤忠株を売り出した後にレポートを出したのなら)倫理観に若干疑問がある」とコメントしているが、そもそも清田氏は大和証券の出身で、日本企業の肩を持つのは当然で(大和は伊藤忠の幹事証券会社のひとつ)、米国のカラ売りファンドを支持する動機はない。

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