東洋ゴム株「インサイダー取引」の根本原因

公表が遅いことが不正の温床になっている

免震ゴムの性能偽装で謝罪する東洋ゴム工業の山本卓司社長(当時、右)。この会見のあった2015年3月13日にインサイダー取引が行われていた(写真:読売新聞/アフロ)

株式市場の番人である証券取引等監視委員会が、企業の偽装事件の裏で密かに行われていたインサイダー取引を摘発するという、これまで未着手だったパンドラの箱をついに開けた。

8月23日。東洋ゴム工業による免震積層ゴムの性能偽装というインサイダー情報を事前に知り、東洋ゴム株を売り抜けることによって損失を回避したとして、高知県在住の50代男性(以下A氏)に課徴金納付を命令するよう、証券取引等監視委員会が金融庁に勧告した。

電話連絡でインサイダー情報を入手

このA氏は、東洋ゴムの100%子会社である東洋ゴム化工品が免震積層ゴムを納入していた建築卸会社の役員。この建築卸会社の別の役員B氏が東洋ゴム化工品の社員C氏から性能偽装を電話で知ったのは2015年3月に入ってからのことだ。

C氏は東洋ゴム工業が設置した、免震積層ゴム問題対策本部の業務に従事していた。公表後の混乱を避けるため、複数の納入先に対し、性能偽装というインサイダー情報を公表前に伝えていた。C氏とA氏の間に個人的なつながりはなく、業務としてC氏はB氏に電話連絡したという。

かなり前から東洋ゴム株を保有していたA氏は、B氏から性能偽装の事実や公表予定日(2015年3月13日の午後3時20分)を電話で知った。B氏は公表後の対応を相談するためA氏に伝えたのだという。同じ会社なのになぜ電話連絡だったのかは定かではない。

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