名カメラマンが語る昆虫映像の「リアル」 「アリの目」がテレビの未来を見つけた!
撮影が難しいからこそチャレンジ精神がかき立てられる
――50年にわたり一貫して昆虫を撮り続ける栗林さんは、多くのテレビ関係者にとってあこがれの存在です。そのエネルギーの源は何ですか。
昆虫は相手にして飽きない相手なんです。それは、変化に富んでいるからなんですよ。昆虫は生きもののなかでも特に多様性に富んでいて、どれだけ撮影しても飽きるということがありません。また、撮影がとても難しい。難しいからこそ、つねにチャレンジ精神を掻き立てられる相手なんですね。
今は技術もどんどん進歩していて、以前1回撮影した同じ昆虫でも、機材が変わって画質が良くなると、また撮影してみたくなる。今度はどういう撮り方をするか、見る人はどういう撮り方をしたら楽しんでくれるか、そういうことをいつも思いながら、カメラマン生活はもう50年になります。
――海外にもたびたび赴かれて、かなりの数の昆虫を撮影されていますが、今後さらに挑戦してみたい昆虫はいますか。
オーストラリアに、ジャンプするアリがいるんですよ。カンガルーが歩くと、その近くでぴょんぴょん飛び跳ねる。飛び上がるときはちゃんとジャンプするんですが、落下するときはひっくり返って着地する。以前撮影したことがあるんですが、当時の技術では気に入った撮り方ができませんでした。今はハイスピードカメラの技術が向上しているので、そうした技術で改めてしっかりと撮影してみたいです。