教育困難校の生徒は保育・介護の重要戦力だ

「奨学金の拡大」より優先するべきことがある

「教育困難校」の生徒は、他者への優しさが長所だと筆者は指摘する(写真:amadank / PIXTA)
「教育困難校」という言葉をご存じだろうか。さまざまな背景や問題を抱えた子どもが集まり、教育活動が成立しない高校のことだ。
大学受験は社会の関心を集めるものの、高校受験は、人生にとっての意味の大きさに反して、あまり注目されていない。しかし、この高校受験こそ、実は人生前半の最大の分岐点という意味を持つものである。
高校という学校段階は、子どもの学力や、家庭環境などの「格差」が改善される場ではなく、加速される場になってしまっているというのが現実だ。本連載では、「教育困難校」の実態について、現場での経験を踏まえ、お伝えしていく。

喜怒哀楽が激しい生徒が多いのはなぜか?

「教育困難校」には、感情が安定せず喜怒哀楽が激しい生徒が多い。これは、親や周囲の大人が、そのような態度で彼らに接してきたからだろう。周囲の大人が精神的な余裕を失い、次世代を育てる「親」や「大人」としてふさわしいか、というフィルターをかけることを忘れ、自らの感情を子どもたちにストレートに見せてきた結果なのだと思う。

そのような家庭で育った彼らは、感情のコントロールが苦手で、しばしば、一時の激情に任せて他者に暴言を発したり、いじめや暴力に走ったりする。しかし、本質は非常にやさしく、弱者に対しての思いやりにあふれていると感じる。人は、挫折や思うようにならない苦しさを経験してこそ、他者にやさしくなれるというのは真実だと、彼らを見て実感する。

筆者が経験した「教育困難校」での、ある日の出来事を紹介しよう。女子生徒1人、男子生徒2人が遅刻してきた。3人ともチャラいタイプの生徒で、「学校に来る途中でよいことをしてきた」と言いながら、悪びれずに席に着いた。

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