ビジネスの最前線で活躍するパパやママは、プロジェクトマネジャーとして「プロジェクト計画」を策定する、またはレビューする機会も多いと思うが、「夏休みの計画」もやることはまったく同じである。
ここまでゴールに最短距離で到達するためのルート設定=タスク設定について検討してきた。タスク設定ができたら、次に、スケジュールを設定しなければならない。実際の「プロジェクト計画」の策定でも、各タスクの難易度、コスト、インパクトなどを勘案し、スケジュール設定を行う。
夏休みの計画策定で大切なこと
「夏休みの計画」も同様で、子ども一人ひとりの各タスクに対する難易度は異なる。算数の計算は得意だが図形、特に立体図形が苦手な場合は、同じ算数でも立体図形にかかる時間は多くなる。国語の論説文は得意だが、物語文が苦手な場合も同様で、時間配分は異なる。
このように、子どもの現状における得意不得意を完全に把握していないと、適切な=実行可能なスケジュール設定はできない。そんな細かいことまで管理できないと思われるかもしれないが、できる。6月の連載で検討してきた模擬試験の結果の中で、平均正答率と自分の子どもの正解不正解を比較していけば、その情報を手に入れることは難しくない。
重要なのは、模擬試験の結果を得点と偏差値だけで判断しないで、子どもの得意分野不得意分野、言い換えれば、改善ポイントを明らかにすることだ。
多くの子どもは自分自身で、得意不得意を感覚的にはわかっているのだが、それに対してどのくらいの工数を投入すれば問題を処理できるのかという、定量的感覚は備えていないことが多い。そこで、ビジネスの最前線で活躍するパパやママのプロジェクトマネジメントスキルを生かし、サポートをしてあげてほしい。
このように親子で「プロジェクト計画」を策定したら、いよいよ40日間のプロジェクト実行である。もし、お子さんが3年生や4年生、5年生なら、ぜひ、夏休みの終わりの8月30日、31日あたりで、フィードバックを行ってほしい。
「プロジェクト計画」は、実行できたのかできなかったのか? 仮にできなくても、子どもを責めてはいけない。丸の内や大手町の業界最大手企業で行われるプロジェクトも、9割以上が「プロジェクト計画」どおりには実行されない。必ず修正される。ビジネスの最前線で活躍するパパやママができないことを、子どもに求めてはいけない。
大切なことは、何ができなかったのか? なぜできなかったのか? 来年はどうすれば実行できるようになるのか? を、話し合うことだ。いくらよく考えたとしても、実行不可能な無理な計画だったということもあるだろうし、途中でサボってしまった、見積もりが甘かったなど、いろいろな理由があるだろう。それらを明らかにし、来年に生かしていくことまでやりきってほしい。そうすれば、「夏休み」というプロジェクトのPDCAを完成させることができる。
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