2008年に東証2部に上場し、その後も業績は伸びている。M&A(企業の合併・買収)も含めたグループ全体の売上高は、2008年12月期の119億円から2015年12月期の227億円へ、営業利益は11億円から15.8億円まで増加した。2015年3月には東証1部に指定替え。現在、混載輸送サービスの市場規模は約500億円(会社推計)と見られるが、同社はトップシェアを誇っている。
同社は物流企業としては利益率が高い。主力事業の小口貨物は、リスクが高いこともあって、大口貨物より利幅が大きいためだ。2015年12月期の売上高営業利益率は6.9%で、企業向け物流サービス大手の日立物流の3.1%(2015年3月期)、国際物流大手の近鉄エクスプレスの5.0%(同)を上回っている。
今後は主力の海上輸送に航空運輸を組み合わせるだけでなく、海外展開エリアの拡大を図る方針だ。事業拡大のために、若手の人材育成にも力を入れており、海外のグループ会社へ派遣して実務経験を積ませている。
中国からの輸入が牽引、通関業務も提供
次に中国から日本に向けた輸送サービスで高いシェアを有している、エーアイテイーを紹介する。
中国は経済規模を表すGDP(国内総生産)で、2010年に日本を抜いて世界第2位になった。生産力を強化し、他国にモノを輸出することで、中国経済は成長。現在、日本にとって中国は、アメリカを抜いて、世界最大の輸入相手国になっている。中国から日本への輸出額は、2000年の5.9兆円から、2015年の19兆円まで3倍以上に拡大した。
エーアイテイーの場合、中国の経済成長でビジネスチャンスをつかんで成長し、2007年3月にマザーズ上場を果たした。中国航路に絞って国際貨物事業を始めたのは1998年。現在では中国内10カ所の拠点と、タイ、ベトナム、台湾、米国の子会社、駐在所が連携し、ビジネスを行っている。
通関業務を組み合わせた一貫物流サービスがエーアイテイーの強みだ。業界トップクラスの短納期とリーズナブルな長期固定価格を武器に、100人を超える営業スタッフが、ワンストップサービスを提供している。中国からの海上コンテナ輸送では、市場シェア11%(会社コメント)と業界トップクラスである。
同社はマザーズ上場後も成長を続けており、2016年2月期には売上高211億円、営業利益15.3億円と、上場直後から売上高で2.6倍、営業利益で3.4倍以上となっている(2008年2月期の連結売上高は80億円、営業利益は4.5億円)。2016年2月期の売上高営業利益率は7.2%と、前述の内外トランスラインを上回り、物流企業として優良な水準だ。
エーアイテイーの中期目標は売上高300億円。その達成のため、主力だったアパレルや雑貨中心から、機械や自動車に取扱品目を拡大させるとともに、営業エリアをアジア全域と北米へ広げている。
矢倉英一社長はアナリスト向け決算説明会で、成長を担うための人材強化を進めていくとコメント。中途採用に加え、新卒採用での若手育成も積極的に取り組んでいく方針だ。港湾での実地業務の研修から、選抜した若手を中国現地法人に派遣するなど、同社ならではの育成を行っている。
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