3社目として、日本国内での注目物流サービスを紹介したい。通販大手スクロールの物流子会社であるスクロール360だ。
親会社であるスクロール(旧社名ムトウ)は、生協向けなどのアパレル通販で50年の歴史をもつ企業だが、2000年以降は収益が安定しない状況が続いていた。現会長兼CEO(最高経営責任者)である堀田守氏が2007年に社長就任後、アパレルに依存したグループの構造改革を断行した。
その取り組みの中で、スクロール360は、単にモノを保管し運ぶ物流子会社から、通販で培ったノウハウと物流を組み合わせた、ソリューションサービスを提供する企業に転換した。
カタログ通販のノウハウをネット通販に
紙のカタログ通販の利用は頭打ちになっているが、ネット通販の拡大で、国内通販市場は拡大が続いている。2016年3月に富士経済研究所が発表したレポートでは、2010年に4兆円に満たなかった国内の通販市場は、2017年には7.2兆円に達すると見込まれている。
同社は国内の通販市場の活性化をビジネス拡大につなげている。同社の物流サービスはグループが保有する倉庫設備を活用した商品保管から発送業務にとどまらない。
スクロールがカタログ通販で長年培ってきたノウハウを生かした販促サポートや情報システムもセットにして提供している。売上高は年々増加し、2016年3月期は78億円と、この4年間で2割以上拡大している。今後もネット通販拡大を受け、スクロール360は成長を続けていくだろう。
物流業界は現在、競争が大変厳しい。2016年10月には海運大手の日本郵船、商船三井、川崎汽船が定期コンテナ船事業の統合に追い込まれたのは、記憶に新しい。その一方で今回取り上げた3社のように、他社が敬遠する分野に目をつけたり、自社の特徴を生かしたりして、成長している物流企業もあるのだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら