分断とねじれ、トランプの米国はどこへ行く "正統性"や支持率なき船出、その向かう先

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第1の行動=議会のすべての議員の任期に上限を課すために憲法修正を提案する
第2の行動=自然減によって連邦政府の職員を削減するために、すべての連邦職員の雇用を凍結し、自然減を図る(軍、安全保障関係、医療関係の職員は除く)
第3の行動=新しい法律を作るためには既存の2つの法律を廃止しなければならないという要件を解除する
第4の行動=ホワイトハウスと議会の職員が職を辞した後、5年間、ロビイストになることを禁止する
第5の行動=ホワイトハウスの職員が外国政府のロビイストになることを生涯禁止する
第6の行動=外国のロビイストがアメリカでの選挙のために資金集めを行うことは完全に禁止する

政策を実施する方法は2つある。ひとつは「大統領令(executive order)」を発令することだ。もうひとつは議会で法案を成立させることだ。

大統領令でできることは限られている

第1の行動は憲法改正を伴い、議会が承認しても、国民投票で承認されなければならない。議員任期の制限は共和党、民主党双方の議員が反対すると予想され、実現は難しいかもしれない。

第2の行動は大統領令で対応できる。トランプ大統領は、これを最初の100日の最優先課題に掲げている。民主党議員106名が連署で、政府職員の採用凍結を中止するように求める書簡をトランプ大統領に送っているが、政府職員の削減は共和党の従来からの主張であり、トランプ大統領は民主党や労働組合の反対を押し切って実施するのは間違いないだろう。

第3の行動は、クリントン政権の時に採用された"PAYGO政策"を廃棄することを意味する。クリントン大統領は財政赤字を削減するために、議員が歳出を伴う法案を提出する場合、既存の法案を廃止して予算を確保することを求めたものである。利益の地元誘導を図ろうとする議員にとっては面倒なルールである。これを廃止することは、国民寄りというよりも議員の便宜を図るものである。

第4から第6の行動は、いずれもロビイスト活動規制である。ただ、オバマ大統領も同様な規制を試みたが、実効は上がらなかった。アメリカの政治はロビイスト活動なくしては動かないからだ。トランプ大統領は何等かの大統領令を出すだろうが、国民にはあまり関係のない政策である。

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