1月20日、ドナルド・トランプ氏が第45代大統領に就任した。だが、異例な船出である。ロシア政府が選挙に介入したとするFBI(連邦捜査局)の調査結果や、選挙での得票率が46.1%と大きく過半数を割り込んだことなど、トランプ氏は大統領としての"正統性"さえ疑問視された。選挙人では304名と圧倒的な数を確保したが、得票率はヒラリー・クリントン候補の48.2%を大きく下回った。
就任直前のギャロップの世論調査(1月4日~8日に実施)では、半数を超える51%が支持しないと答え、支持率は44%と歴代大統領の就任直前の支持率の中で最低を記録している。オバマ大統領の支持率は83%と極めて高かった。その前の不人気と言われたブッシュ大統領でさえ61%と過半数を超える支持率を得ている。
さらに当選後の12月7日から11日に行われた調査での支持率は48%であり、この1カ月間で支持率は低下している。本来なら新政権に対する期待感が高まっても不思議ではないのに、むしろ国民の間にまったく熱気は感じられなかった。
市民権を否定する司法長官
オバマ大統領の時、就任式の日までに全閣僚が議会で承認されていたが、トランプ政権の閣僚の中には民主党や市民の強い反対があり、まだ承認されていない候補者もいる。
議会の承認を必要としないホワイトハウスのスタッフに、アルト・ライトと呼ばれる極右で白人至上主義者のスティーブン・バノン氏を上級顧問兼首席戦略担当官に任命している。また閣僚では司法長官に指名されたジェフ・セッションズ上院議員が市民権を否定する発言を繰り返している。
世論調査機関であるピューリサーチ・センターの調査では、同議員の指名を支持すると答えた比率が29%であるのに対して、不支持と答えた比率は34%に達している。国務長官に指名されたエクソン・モービルの元役員であるレックス・ティラーソン氏の場合、ロシア政府との密接な関係もあり、支持しないと答えた人は35%に達し、支持するという回答はわずか23%に留まった。
さらに衝撃的な結果は、60%が「国にとって良い法律でも、企業に悪影響を及ぼす」という理由でトランプ大統領は法案に拒否権を発動するのではないかと懸念していることだ。さらに40%が、「トランプ大統領は国の利害よりも自分の理解を優先する」ことを懸念している。
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