L.L.ビーンが「トランプ問題」で突然窮地に さわやか企業なのに不買運動が勃発
ゴーマン会長はボイコットの呼びかけに対し、L.L.ビーンは政治家の候補者を支持せず、政治的な献金もせず、いかなる政策も指示していないと述べ、リンダ・ビーンの献金は個人的な判断によるものだと説明した。
「当社の取締役10人のうちの1人の政治的見解に賛成しない人がいるであろうことは十分理解しており、尊重する」とゴーマン会長はフェイスブック上に投稿した声明で述べた。
L.L.ビーンの創業一族で、保守派として積極的に発言してきたリンダ・ビーンの政治的な活動をめぐって同社が世間の反発を買ったのはこれが初めてではない。彼女は1988年と1992年に連邦議会選に出馬しており(いずれも失敗に終わった)、同社はニューヨーク・タイムズに対して、彼女の出馬と社は無関係であるとする書簡を送っている。
1993年にはフィラデルフィアの同性愛者擁護団体が、リンダ・ビーンが1992年の選挙戦中に「右派の理念と同性愛を嫌悪する人」を支持したとして、L.L.ビーン製品の不買運動を行った。同社の広報担当者はボストン・グローブ紙に、一部の顧客から、社のメーリングリストから削除するよう要請があったと語っている。
リンダ・ビーンは12日放送のFoxニュースの「Fox & Friends」に出演し、社と自らの献金を擁護。グラブ・ユア・ウォレットに対して「いじめ」だと批判した。
「私は決して逃げない。自分は正しいと思っており、彼らはいじめをしているのだ」とリンダ・ビーンは語った。
政治的思想による分断は続くのか?
連邦選挙管理委員会(FEC)の報告によると、リンダ・ビーンは昨年8~10月にかけて、「Making America Great Again(米国を再び偉大に)LCC」という名称のトランプの支持団体に3万ドル(約340万円)を献金している。
同団体は、献金額の上限が5000ドル(約57万円)に定められている従来の政治活動委員会(PAC)ではなく、個人や企業から無制限に献金を受け取ることが連邦法で認められている「スーパーPAC」として活動していたとみられ、L.L.ビーンの拠点であるメーン州では、トランプ氏と選挙戦を戦った民主党候補のヒラリー・クリントンを攻撃する広告を展開した。
ところが実際にはこの団体は、従来のPACとして登録されており、リンダ・ビーンの献金は違法だった。FECは同団体の財務責任者に、上限を超える献金についての説明を求める文書を送った。
同団体が先日提出した書類は、名称が「Making Maine Great Again(メーン州を再び偉大に)」に変更されており、当初リンダ・ビーンからとされていた献金の一部は、実際には彼女の姉妹であるダイアナ・ビーンからのものだったと主張した。またFECに対し、同団体はスーパーPACとして登録されるべきだと述べた。