L.L.ビーンが「トランプ問題」で突然窮地に さわやか企業なのに不買運動が勃発

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政治的思想による分断は、トランプ政権発足後も企業に問題をもたらし続ける可能性がある。事業家であり著名人であるトランプは、自らがひいきにする商品や企業の宣伝をためらうことなくしてきた。しかし、大統領としてはそれをすることは、たとえ非公式であっても、トランプ本人や企業にとって厄介な問題を引き起こしかねない。

大統領史に詳しい歴史学者のマイケル・べシュロスは、大統領が国民に対して特定の企業の製品購入を推奨することは非常にまれだと言う。「一般的に、大統領の権限に限りがあるとの意識がある大統領は、国民にどの製品を買うべきか薦めるほど権限を拡大しようとはしない」

献金すれば見返りのツイート?

連邦法では、政府の行政機関の職員が特定の製品を推薦することを禁じているが、大統領や次期大統領にはこの規定は適用されない。

今後問題となるのは、今回のトランプのツイートが一度きりの感謝の投稿なのか、それとも彼はこれからも政治的な支持に基づいて企業に影響を与え続けるのかということだ。

自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)と米航空機大手ロッキード・マーチンはトランプからツイッターで批判をされたことで株価を下げた。スポーツ用品ニューバランスは、広報担当役員がウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューでトランプへの支持を明らかにしたため、不買運動に見舞われた。同社は自社のスニーカーを燃やして非難する消費者への対応を迫られる一方で、白人至上主義者からの支持の高まりには距離を置いた。

危機管理を専門とするコンサルティング会社、コムコア・コンサルティング・グループのアンドリュー・ギルマン最高経営責任者(CEO)は、広告主は今、自分たちがトランプから「気に入られているか、攻撃の対象になっているか」を日々チェックしなければならないと言う。

選挙資金という観点が今回のトランプのツイートを特別なものにしており、マーケターたちはどうすれば大統領から支持されるかを思案していると、ギルマンは指摘する。

「トランプのツイッターの世界では、ご機嫌取りをしたり献金をしたりすれば、会社を支持するツイートをしてもらえるという見返りがあるのだろか?」と、ギルマンは言う。「だとすればそれは前代未聞だ」

(執筆:Daniel Victor記者、翻訳:中丸碧)

  © 2017 New York Times News Service

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