週7日飲酒?赤提灯に集う「暗黒女子」の正体 仕事に疲れた彼女達は横丁に「家族」を求める

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まず話を聞かせてもらったのは、「暗黒女子」のモデルでもあるKさん(34歳)とYさん(30歳)の2人。ともに就職や転職を機にたまたま武蔵小山に家を借りて住むようになり、暗黒街の魅力にはまった。

Yさんは言う。「私は地方の大都市で生まれ育ち、大学は池袋だったので、大都市しか知らなかったんです。ところが武蔵小山に住んで、あっ、私の求めていた街はこれだ!と思いました。小さなサイズ感で、人の顔が見えるんです。よく行く店に入ると、『おかえりー』とか言ってくれて」。

Kさんも「家族みたいな街です。風邪をひくと飲み屋の常連のおじさんが自宅に薬を届けてくれたり」という。

二人とも、焼き肉やホルモンなどの肉が大好物。いったい、いつから食べるようになったのだろう。Kさんは言う。「子どもの頃から家族でチェーンの店などによく行っていました。学生の頃は、三郷の実家のマンションの目の前に焼き肉屋さんができたので、よく通ったし、バイトもそこでしました。大学を出てからは立石のホルモン屋さんにも行くようになりました」。そう語りながら、Kさんは実に上手に肉を焼く。

「暗黒女子」は甘いものより、塩辛いものがお好き

一方のYさんは、小さな頃から肉を食べていたわけではない。「私の家では焼き肉屋さんには行かなかったんです。大学生になってから友達とチェーンの店に行ったのが初めてくらいで」と言う。「通っていた武蔵小山の飲み屋街が更地になってからは、自宅も引っ越したので、同世代の同僚たちと渋谷の横丁によく行きます。女子のほうが好んで行きますね。男子はあまり来ない。三軒茶屋もたまに来ます。今は、甘い物は関心がない。ケーキより塩辛が好きです」。――塩辛女子か!

高級住宅街のイメージがある三軒茶屋だが、駅前には戦後の闇市から発展した、趣のある横丁がある(写真:筆者)

「もちろん、メンバーによってはイタリアンも行くし、自分で『ディーンアンドデルーカ』のお総菜を買うこともありますが、横丁の飲み屋の雰囲気は格別ですね。特に、仕事で疲れたときはきれいな店より横丁のほうがいいです」(Yさん)。

Kさんもそれに同意する。そして「今度武蔵小山の店にご一緒しましょう!」と誘ってくれた。昭和38年開店で、今の女将さんの母親の代から続く居酒屋らしい。「刺身とか煮魚とかかぼちゃの煮たのとか、おっいしいんですよ!三浦さん、きっと気に入りますから」(Kさん)。そんなKさんは、外に飲みに行かない日も含めて、毎日お酒を飲むという。

Kさんが焼いた肉を食べ過ぎて、私の胃はもたれていた。しかし翌々日は野毛の取材だ。

そこで出会ったのは、3人の女性たちだ。Tさん(27歳)は、以前野毛に住んで野毛に勤めていた。「夜遅くまで仕事をしていたので、帰るときにはお腹が空いてしまい、野毛の飲み屋街に立ち寄ったんです。多いときは週3、4回来ていました。今は職場も住む場所も変わってしまったので、途中下車して月に1、2度来ています。最近では新橋や恵比寿横丁もよく行きます。週に6日は飲んでいますね」という。

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