日本の大学生にできることは?
帰国中の留学イベントで、リベラルアーツカレッジについて話をしました。その際、ある日本の学生の方が、「日本の大学にいてできることは何なのだろうか」という質問をしました。私自身が振り返って考える機会となった印象的な質問でしたので、それについて書いてみようと思います。
まず、私は決して日本の大学生が皆、留学すべきと思っているわけではありません。日本の大学には日本の大学のよさがあるわけで、アメリカの大学でも、まず自分から行動を起こさないと得るものは少ないです。日本の大学とアメリカの大学での大きな違いは、何かの行動を起こそうと思ったときに、自ら行動を起すことを可能にする環境が整っているかどうかだと思います。誰かが何か新しいことをやりたいと言うと、必ずといっていいほど大学内の誰かからはレスポンスが返ってきて、実際に活動が起こせます。
日本の大学の枠組みの中でも、いろいろと起こせることはあると思います。ただ、そのときのネックとして、大学の教務科の頭の固さがあると思います。私自身、東大にいるときにいろいろと提案したのですが、とても丁寧なお言葉で却下され、「もういいいや時間ないし」とあきらめてしまったこともあります。だったら、もっと個人のレベルでの行動を起こしていけばいいんじゃないかと。たとえば、教授に連絡を取って、何かやりたいことを伝えてみるとか。教授にお願いしてゼミを開いてもらったり、自分からゼミに参加したりすれば、少人数での教育を受けることもできるはずです。
2人目の存在になれ
何か行動を起こす時に重要なのが、「2人目の存在」です。私はよく“TED”というサイトの講義(5~20分程度で、さまざまなスピーカーが話をするサイト)を見ていたのですが、そのときのひとつの講義に「2人目の存在」の重要性を訴えるものがありました。そのときのスピーカーは次のような画像を見せました。
丘にたくさんの人が座っていたのですが、突然ひとりの男の人が踊り出しました。初めは皆「なんだあいつ、気でも狂ったのか」という顔でそれを見ていたのですが、ほかの男性がその最初の男性と一緒に踊り始めたんですね。そうすると、少しずつ「なんか楽しそうなことやっとる奴らがいる。混ざろうぜ!」という雰囲気になって、3人、4人と増えていって、いつしか丘に座っていた人たち皆が踊るという画像でした。
このビデオから学べることとして、いくらオリジナリティに富んで行動を起こす「1人目」がいても、その「1人目」と一緒に行動を起こしてくれる「2人目」がいないと、周りの人たちからは、せっかくの1人目の行動も受け入れられないことがあるということです。つまり、この画像で重要だったのは、1人目の行動をより大きな活動につなげた「2人目」の存在であるのです。
「何か行動を起こしたいけれど、起こしたことないからわかんない。やめた」(東大にいたときの私ですね)ということは多いと思います。「大学に来た。やりたいこともあるし、時間もあるし、体力もある。でもやり方がわからない」という人は多いのではないでしょうか。
まだよくわからないなら、誰かほかの何か行動を起こしている人に混ざるということを、決してネガティブにとらえないで、「私はこの人の運動を大きくするためにやってきた2人目なんだ」と思って、いろいろとトライしていくこともいいかもしれません。
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