プロデューサーが語る「ファンタビ」の将来性 ハリポタ含め50年超のシリーズ作品になる?

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その間には『ゼロ・グラビティ』や『パディントン』といった作品をいろいろと手がけた。それは自分にとってものすごく大事なことだったし、きっとこれからも他の作品を作るだろう。実際、今は『パディントン』の続編を作っている最中だしね。それにはヒュー・グラントが出演する。熊の役じゃないけどね(笑)。

――ワーナーにとっては、今回の映画でのグッズ展開も期待できそうですし、ビジネス面でも大きな遺産になったのではないでしょうか。

テーマパークもできたしね(笑)。ビジネス的に見たら確かに大きなものかもしれない。ただし、映画そのものがすばらしくなかったら、付随するものは何も生まれない。やはり1作ごとに独立した映画なので、みんなが情熱を込めて。観客にすばらしい体験を感じてもらえるような作品を作り出さなくてはならない。グッズが売れるかどうかはその後についてくるものだと思う。

映画が成功すればグッズだって売れる

David Heyman(デイビッド・ヘイマン)/1961年イギリス・ロンドン出身。1992年の『ジュース』でプロデューサーデビュー。2001年からの『ハリー・ポッター』シリーズ全8作品を製作。さらに2013年にはアルフォンソ・キュアロン監督の『ゼロ・グラビティ』で製作を務め、2014年度米アカデミー賞最優秀作品賞にノミネート。2003年には、イギリス人プロデューサー初のショーウエストのプロデューサー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。現在はファミリー映画『パディントン』の続編「Paddington 2」を製作中

――まずは映画の出来が大切であると。

でもそれって、何事においてもそうなんじゃないかな。「こいつはすげえ! ビジネスとしてもうかるぞ!」というように外側から見えたものをやるのではなく、自分の内面が心動かされるものをやらなければならない。僕が一番初めに『ハリー・ポッター』の本を読んだのは1997年のことだった。本当に感動した。子どもの頃に読んだような本を読んでいるような気がした。ハリーやロン、ハーマイオニーに親近感を抱いたし、ホグワーツにも行ってみたいとも思った。

――それが映画化へのモチベーションだった。

そう。だけど最初は英国産のちょっとした小さな映画になるのかと思っていた。だからこんなに大きなものに進化なんて信じられない。あれから20年たって、日本に来て皆さんにお話をするようになるなんて思いもしなかった。それもこれもみんな、僕が本に心を惹かれたところから始まっている。とにかく何でこれが好きなんだろう、どういう理由でこれを作ろうとしているんだろう、というところから始めないとダメだと思う。

――そして本作で再びこのシリーズに関わることになりました。

改善する機会を与えられるのはすばらしいこと。もちろん今まで作った映画はものすごく誇りに思っているけれど、映画っていつまでたっても終わらないものなんだ。もう一回このシリーズをやる機会が与えられた。だから今回は、もっと良くつくりたい、絶対に良くしたいと思っていた。それは「ハリー・ポッター」の時もずっとそう思っていた。やはり作品に対して、情熱を持ってやってきた。自分にどういうことができるのか、どういう可能性があるのかを探り出しながら、さらに高いところを目指していったんだ。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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