サマーランドを悩ませ続ける深刻な経営問題 15年間で11回の赤字計上、今後どうなるのか

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だが、目論見通りにはいかなかった。東京都競馬の社史を読めば、当初から冬場の集客に苦戦していたことが読み取れる。そこでサマーランド側は通年の集客が見込めるボウリング場の「サマーボウル」、ゴルフの練習場、そして冬場の集客を見込んだアイススケート場を開設した。

その後も米アニメ「セサミストリート」をイメージした「東京セサミプレイス」(1990年~2006年)、畑正憲氏の「東京ムツゴロウ王国」(2004年~2007年)などを誘致したが、ゴルフ練習場を残し、現在はいずれも閉鎖・撤退している。

創業以来、夏場以外の集客が課題

2016年4月にオープンしたわんダフルネイチャービレッジ。サマーランドとは違い、落ち着いた雰囲気のアウトドア施設だ(記者撮影)

今年4月には既存の施設を閉鎖して、飼い犬を放し飼いにできるドッグランなどを供えた「わんダフルネイチャーヴィレッジ」を開業。地場の木材を使い、アウトドア色を前面に押し出した施設となっている。

会社側は入場者数を明らかにしていないが、規模から考えても、遊園地やプールに比べて集客力が弱いことは否めない。

サマーランドの業績は不振が続いているが、親会社である東京都競馬の業績は絶好調だ。競馬ブームの再来に加えて、在宅投票システム「SPAT4」を競馬の主催者に貸し出す手数料収入が利益を押し上げている。今2016年12月期の業績見通しは売上高196億円(前期比6.3%増)、営業利益49億円(同4.7%増)、利益率は25%に達し、営業利益の水準は1990年代初頭の競馬ブームに迫る勢いだ。

前出の業界関係者は「夏場しか集客の見込めないウォーターパークは、自治体が運営するもの以外は多くが閉鎖に追い込まれた。存続できているということは、健闘している方かもしれない」と指摘する。

記者の取材に対して、会社側はサマーランドの運営状態を今後どうするのか、言及を避けた。サマーランドは来年2017年に、開業50周年の節目を迎える。このまま赤字を垂れ流す存在で構わないのか、それとも別の"抜本的な"選択肢を探すのか。大きな転換点を迎えている。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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