さらに、インターネットに接続されていて、ユーザーがこれまでのエネルギー消費を見ることもできる。つまり、サーモスタットといっても、これまでの製品とはまったく異なる新時代の環境装置なのである。
「安全な道」は歩まない
「iPodだけにとどまりたくない」
こう語るファデルは、小さい頃からモノづくりが好きな子供だった。そんな彼の才能をさらに伸ばしたのは祖父だ。祖父は、ゴーカートやリモコンで動くおもちゃの自動車などを作るのをサポートした。
ともかく何かを作りたいといつも思っているファデルは、すでにミシガン大学在学中に教育ソフトの会社を教授と共同で創設。その教授は、ファデルがさまざまなプロジェクトに果敢に挑戦し、決して「安全な道」を歩む若者ではなかったと語っている。
卒業後、アップルからスピンアウトしたジェネラル・マジック、家電メーカーのフィリップスなどを経てアップルへ。そして今、コンピュータもスマートフォンも超えた、さらにその先を彼は見据えている。それは、われわれの生活にある多様なモノがインターネットに接続されて、それらがわれわれの生活を自動的にサポートしてくれるという世界だ。
今は、サーモスタットだけだが、ネスト・ラボはこれからどんな広がりを見せていくのか。その答えは、ファデルの頭脳とビジョンの中にまだ隠されている。ネスト・ラボには、ロボット研究の第一人者も含めテクノロジー業界のトップの才能がそろっており、われわれの生活の未来像を描き出そうとしているのだ。
今、インターネットやテクノロジーは、コンピュータの画面を飛び出して、われわれの生活の中に入ってきた。トニー・ファデルは、必ずやその舵取りの一人になるのだ。
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