東急ハンズでは、2010年末から、広報、リアル店舗のマーケティングを担当する部門とも横断で会議を持つようになった。ソーシャルメディアの導入が、横軸での連携を持つきっかけになったという。
「複合型書店、ヴィレッジヴァンガードと共同でTwitterを活用したイベントを行い、非常に話題になった。そこから社内の風向きが変わった」(緒方氏)。
O2O推進のため、社内で説明する重要性
「ネット業界で話題の技術でも、店舗の人から見ればよくわからないということになる。店舗の人たちに価値を提供できなければ前に進まない」と、緒方氏は話す。
そのためには、O2Oの費用対効果を見える化し、店舗の人たちに説明していく必要があるだろう。
だが、クーポン施策と違い、東急ハンズの取り組むO2O施策は、効果を数値化することが難しい。ネットストアで商品を検索して店舗情報を見た後、何人が実際に来店したのかは計測できない。
しかも、単に検索した商品が売れたかどうかだけで効果を測ることも十分とはいえない。ある商品の在庫を確認して来店した結果、店員に薦められて別の商品を購入することもある。在庫連動機能だけ効果測定ができればすべて解決するというわけでもない。
前回、レポートしたファーストリテイリンググループの「ジーユー」は、ターゲット層が20代女性というスマートフォン世代。紙のチラシを激減させ、スマートフォンを使った施策へ思い切りシフトすることができた。
だが、東急ハンズは全世代がターゲット。紙のチラシは東急ハンズがこれまで脈々と続けてきた大きな認知手段であり武器。簡単にやめるわけにはいかない。あくまで、チラシのような既存の施策の予算は切り崩さずに、残りの予算でO2Oの効果を出す必要がある。東急ハンズは今、その過渡期にあるといえる。
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