7万円以上のスーツを展開する「SHIPS」「Tomorrowland」など、一部の大手セレクトショップでは陳列しているスーツ袖にもともとボタンを付けていません。この商品提供形式を「アンフィニッシュド」と呼び、10年以上前から採用されています。また、百貨店で販売されているスーツも、一部ブランドでこの形式を採用しています。スーツ購入時、袖の長さを測ることを前提としているため、購入者は袖が合ったスーツをつねに着こなせます。
一方、若手ビジネスマンを中心に浸透してきた「ツープライススーツ」となると事情が異なります。ツープライススーツとは、一式で2万円台あるいは3万円台など2つの価格帯を持ったスーツで、青山商事が展開する「THE SUIT COMPANY」をはじめ、「オリヒカ」(AOKIホールディングス)、「SUIT SELECT」(コナカ)、「P.S.FA」(はるやま商事)など、紳士服量販大手4社が展開しているツープライススーツ量販店で売られています。このツープライススーツを買ってそのまま着ると、ジャケットの袖の長さが合わないケースも少なくありません。
ツープライススーツ量販店もここまで直せる
ただ、実はツープライススーツでも、袖のお直しサービスを提供していることをご存じでしょうか? ジャケットの袖の適正基準は、親指の爪先から袖先まで「10~11センチの距離」といわれています。販売時点でボタンの縫い付けがあるため、短くできる範囲は1.5~2センチ程度ですが、数千円で微調整が可能です。
スーツ大手量販各社のお直しサービスは、私たちの想像以上に充実しています。ジャケットの袖のみならず、身幅・着丈、スラックスのウエスト・ヒップ・わたり・裾幅など、合計7カ所を、大手量販各社のお直しサービスでは受け付けています。
「スーツは肩で着る!」という格言のように、スーツ着こなしにおける肩のフィット感は大切です。お直し専門店に持ち込むならば、肩幅を詰めるお直しもできますが、ツープライススーツ量販店はこのお直しを扱っていません。つまり、既製スーツをスマートに購入する手順とは、まず肩幅に合うスーツを選び、それから「お直しサービス」で微調整を加えることです。
たとえば、ボディーラインを強調し胸板を厚く見せたいとき、「身幅詰め」というお直しが有効です。ジャケットの胴囲を絞るこのお直しは、胴囲の円周を4センチまで詰められます。それ以上の詰めは、ジャケットバランスが崩れるという理由からできないと言われますが、「自己責任で構いません!」と伝えた場合、最大6センチまで対応してくれるケースもありました。
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