休日カジュアルのみならず、平日であっても白いズボン、いわゆる「白パン」を履くビジネスマンを、最近よく見かけませんか?
私は「プロの目線でユニクロもカッコよく!」をモットーとして、これまで延べ3800人以上のビジネスマンのファッションをトータルコーディネートしてきました。その私からは、この11年間で「ビジネスパンツの常識」が大きく変わったように見えます。
5カ月間のクールビズと5カ月間のウォームビズ(平成28年度)、環境省が推進するプロジェクト「COOL CHOICE(賢い選択)」を実践した場合、年間12カ月のうち10カ月はオフィスの温度に適した格好が優先される時代。つまり、一揃いの生地でできたスーツ以上に、温度調整を主としたビジネスファッションのバリエーションが、今まさに必要となっています。
ノージャケット・ノーネクタイの苦悩
ビジネスパンツの定番といえば、ウール混紡のスラックスではないでしょうか? 素材・形もスーツパンツと変わりませんし、ノージャケット・ノーネクタイスタイルで合わせることも一般的です。
スーツ量販大手4社が、20~40代向けに運営するTHE SUITS COMPANY(青山商事)、オリヒカ(AOKIホールディングス)、SUIT SELECT(コナカ)、P.S.FA(はるやま商事)においても、スラックスの商品ラインナップは定番のグレー系のみならず、ネイビー系から柄物までバリエーションは豊富にそろっています。
定番のスラックスに、白・ブルー・ピンクといった明るい色のビジネスシャツを合わせることで、軽装ながらカチッとした印象を確保。ただ唯一の難点を挙げるならば、クールビズ期間はシャツの色が微妙に変わるだけで、印象自体に大きな変化が見られないことです。
ノーネクタイ・ノージャケットのビジネスファッションでは、身に着けるアイテム数が少ないからこそ、差をつけるポイントが限られてしまいます。この状況を打開した着眼点が、「配色の逆転」。クールビズ期間の定番配色といえば、必ず上半身が下半身より明るくなります。一方、カラーシャツに白いチノパンを合わせたとき、上半身と下半身の配色は逆転し、従来と異なる印象が生まれるのです。
チノパンといえば、そのワークテイストからカジュアルな印象に捉えられがち。だからこそ、定番色であるベージュより、白いチノパンがビジネスファッションに向いていると私は考えています。木くずなど汚れが目立ちにくい定番色ベージュのチノパンには、どうしてもカジュアルなイメージを連想するでしょう。一方、下半身に汚れやすい白色をあえて持ってくるその余裕が、チノパンであっても相手に清潔感をイメージさせます。
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