正社員、非正社員“渾然一体”のワナ 生涯年収1.5億円の差。それでも同じ仕事?

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といった点で異なります。

厚生労働省の賃金統計によると、正社員と非正社員の年収格差は歴然。つい最近も、生涯収入で比較すれば1.5憶円以上も違うとの試算がメディアに登場して話題になりました。

賃金が少ないのは、期待する役割が小さいから、ということがこれまでの考え方でした。ですからマネジメントする立場の管理職やリーダークラスに

「非正社員に対して期待する役割とは?」

と問うても、的確な回答が返ってくることは「ほぼ」ありません(もちろん例外も。それは後述します)。正社員には主体性・創造性など役割に応じて明確な役割があり、さらに育成機会を通じて成長することを期待しますが、非正社員には育成機会も設けず

《指示したことだけこなしてくれればいい》

と考えられることが多いのが実態です。

正社員登用が、キャリアのゴール?

取材した広告代理店では、新規開拓の仕事をアルバイトの営業に任せて、契約後の対応を正社員が行う体制で業績を伸ばしてきました。当然ながら正社員には営業社員から管理職、役員への道があります。アルバイトは過酷な役割を担うのですが、

「新規開拓で高い成果を出せば、正社員になれるぞ。頑張れ!」

と、社員になることを目標にに設定しています。つまり、非正社員だと、正社員になるのがゴール。その先のキャリアの広がりまでは想定されていなかったりします。

ただ、どの職場でも、想像以上に非正社員が担う守備範囲は広がっています。取材した小売業では、もともとアルバイトには簡単な陳列の仕事だけを任せていたはずが、

「最近は、発注業務や店舗の態勢まで任せてしまう状態になっています」

と、非正社員の業務範囲が広がっている実態を教えてくれました。

次ページリクルートで進む、非正社員の戦力化
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