糸井重里「楽しいからこそ、仕事はできる」 糸井さんと、これからの働き方を考えてみた(上)
「働く」ことを、もみ直す
――このインタビューの前に「はたらきたい展。」を1時間かけて見て回りました。
この展覧会、文章が多いので、読んでいると止まっちゃいますよね。ちょっと盛りすぎじゃないかなあ。長すぎませんでした?
――ぜんぜん、そんな感じはしなかったです。おもしろかったです。
そうですか。じゃあ、よかった。
――「ほぼ日」が今日6月6日に15周年を迎えられて、いまあらためて「働くこと」にフォーカスされたのは、なにか理由があるのでしょうか。
仕事をしていくなかで、やっぱり人が大事だなと思ったんです。昔だったら、どこの会社とつながりがあるとか、どこに工場を建てるとか、そういうことがすごく重要だったんですけど、そんなことよりも、どのような人に会うか、どのような人が仲間になるかがよっぽど大事だって、ずーっと感じていたんです。
どの企業もきっとそうなんですね。
一方では、いろいろな企業のなかで「ここで働いても、どうなんだろうなあ……」って悩んでいる人たちが、ほかの企業に動きにくいじゃないですか。人も仕事場も、需要があるのに滞っていますよね。
――動きたい人がいっぱいいるのに動けない。
そう。それで、あんまり型にはめないで、「働く」ということを1回、もみ直してみようか、って考えたんです。
――もみ直す。
マッサージですね(笑)。この展覧会は理論立ってないですからね、なにも。「こうすればいい」って書いていません。
――「どうしろ」とか、おっしゃりたいわけではない。
いろいろな仕事をしている人たちがぽろっと言った一言がきっかけで、なにかツボが刺激されて、いい方向に動き出すかもしれない。だから、マッサージなんですよ。