丸の内戦争で、パレスホテルが浮上したワケ 決死の大改装で、”ホテル族”を魅了?

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ホテル戦争を戦っているのは、外資系ラグジュアリーだけではない。JR東京駅丸の内駅舎を復元して再オープンした東京ステーションホテル。大正ロマンの懐古を狙った戦略が奏功し、高度成長期に青春を過ごしたシニアたちを引きつけている。
その東京ステーションホテルから北西へ、皇居外苑の緑地を目指して進むと見えてくるのが、パレスホテル東京。50年以上前の1961年に開業した、国産ホテルの代表格だ。
東京駅に近いという意味では、日比谷の帝国ホテルと同様だが、100周年のステーションホテル、125年を超えた帝国ホテルと比べ、50歳は“ひよっこ”。そのハンディを埋めるためでもないだろうが、建物をすべて取り壊し、ゼロから建築し直して2012年5月に新装開業を果たした。目指したのは全国を見渡しても前例のない、”和製ラグジュアリー”とも言うべき新しいカテゴリーだ。
果たしてフル・リニューアルは成功したのか。渡部勝総支配人を直撃した。
1階メインバー「ロイヤル バー」。手前のカウンターは「Mr.マティーニ」と呼ばれた初代バーテンダー、今井清氏の設計で旧館から移設。建物は全面改装ながら、創業来の“精神”は随所に受け継がれている

――パレスホテルというと、やはり皇居のそばだから……やっぱり、皇室と関係があるのですか?

いえいえ。パレスホテルは、ヨーロッパでもアメリカでも、世界中にありますよね。もともと宮殿の意味もあるのでしょう。1947年から国営の帝都ホテルという高級ホテルがありまして、それが払い下げを受けて、1961年にパレスホテルとしてオープンしました。

まあ、帝国ホテルさんもインペリアルホテルですし、パレス(皇居)の前にあるということで、ラグジュアリーのある、一流のホテルを作ろうと、いろいろな思いを込めたのだと思います。ただ、いろいろ調べても、実は命名のいきさつは残っていないのですが。

改装後、女性客が急増

――命名の由来が謎とは、ミステリアスですね。それで、結局、お客は皇室ファンの方が多いのですか?

そうでもないですね。お客様は国内外の方を問わず、皇居の外苑というすばらしい庭園にすごく感動されますが、皇室のファンだからということではないのです。

そもそもパレスホテルの売りは、皇居のそばということではなくて、丸の内のビジネスの中心街にあるということです。丸の内1-1-1という場所にホテルを作ることができた、そのプレゼンスを大事にしてきました。

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