――今回、大規模な改装をされました。宴会場や部屋からの皇居外苑の眺めが素晴らしく、ニューヨークのセントラルパークを彷彿とさせますね。旧館の10階建てから23階建てになったため、この眺めがより強調されています。そぐそばにある東京ステーションホテルは建物を保存しつつのリニューアルでしたが、パレスホテルの場合は完全に取り壊して、一から造り直しているという点で、かなり思い切った感があります。
いろいろなマーケットリサーチをしたり、競合他社を調べたり、海外のホテルなども見たりして、現在の丸の内と、さらに将来の丸の内を考えました。その結果、ビジネス主体から、ビジネスとライフスタイル主体のホテルにシフトしようと決めたのです。
そもそも、丸の内自体が移り変わってきたということがあります。24万人もの人が働いていますが、昔は夜間人口が急激に落ちていた。でも、2003年に丸ビルがオープンし、2007年には新丸ビルが続いた。最近はブリックスクエアができ、今度はKITTE(キッテ)と、商業施設もそうとう増えました。
その結果、外来人口が増えて、週末人口、夜間人口もかなり増えました。新丸ビルにある丸の内ハウスという朝4時まで営業する飲食フロアができたのも印象的でした。そこが平日でも毎日満席になっているのを見て、これは丸の内も将来は六本木に負けないトレンディな場所になるなと強く思ったのです。
――客室の広さが外資系ラグジュアリーの標準である40㎡以上に拡張されましたね。また、日本初上陸の「エビアン スパ」を設置するなど、ホテル好きの女性客に響く設備も多いですね。実際、改装の前と後で、客層は変わりましたか?
改装前、お客様の80%がビジネス、20%レジャーという構成で、年齢は50~70代、40代後半からが中心でした。また、7割は男性でした。
それが、改装後は大きく変わりました。ライフスタイルをホテルに求める女性など、レジャーで来られる方が増えました。年齢層も20代後半から30~40代が中心になっています。レストランの利用も4割ぐらいが女性。現在は、ビジネスが6割、レジャーが4割という数字に近づいてきています。
”ホテル族”がじっくり楽しむ
――そうした若い女性客は、ここに泊まられると典型的にはどんな行動をされるんですか?
せっかくある程度の高いおカネを払って泊まるので、じっくり過ごす方が多いと思いますね。チェックインの3時に大半の方が来られて、翌日の12時までゆっくり滞在されます。その前に来られて、館内のレストランでランチを取られたり、丸の内でショッピングをされる方もいらっしゃるようです。
そして、宿泊されてホテル内のレストランで食事される方もいれば、外で外食される方もいます。スパでトリートメントを受けたり、クラブラウンジで夕方からカクテルを飲んで楽しまれてから、また食事に行かれたりという方も。このように、本当にホテルの中で1日を過ごされるんです。
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